直江の勝ち戦!早大出身力士65年ぶり勝ち越し

[ 2009年3月24日 06:00 ]

大相撲春場所9日目に勝ち越しを決め笑顔の直江

 大相撲春場所9日目は23日、大阪府立体育会館で行われ、早大出身で序ノ口東25枚目の直江(22=尾車部屋)が、同西26枚目の貴ノ岩(19=貴乃花部屋)をはたき込みで破り、4勝1敗で勝ち越しを決めた。早大出身力士の勝ち越しは44年初場所(当時は年3場所制)の笠置山(当時幕内)以来、65年ぶりだった。朝青龍と白鵬が全勝をキープ。琴光喜が敗れ、2敗は魁皇1人となった。

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 65年ぶりの快挙の重圧からか、直江は立ち合いでサッと右に動くとすかさずはたき込んだ。初戦の貴月芳戦に続く注文相撲。早大から70年ぶりに誕生した力士が、初土俵で65年ぶりの早大出身力士の勝ち越しを決めた。やや締まらない内容だったが「立ち合いでかますつもりだったけど、相手の姿勢が低かったんでとっさに決めました」と笑顔を見せた。
 早大相撲部の室伏渉コーチも「大学時代もここ一番で変化することが多かったんですよ」と苦笑いした。「でも、稽古をガンガンやって負けん気も強かった」。曲折を経てたどりついたプロの土俵。この負けん気が、一度はあきらめた相撲に直江を呼び戻した。
 大学1年時から期待されたが、2年の夏に稽古中に左肩を亜脱臼して、歯車が狂った。左肩のケガは慢性的になり、稽古もできない日が続いた。手術も考えたが、3年秋に退部。不動産会社への就職を目指して会社回りをしていたが、相撲への情熱は消えなかった。
 「大学では納得いかなかった。自分の力を試したい」。昨年11月に関係者を頼って尾車部屋への入門。左肩はもう完治はしないが、師匠の尾車親方(元大関・琴風)が「ゼロからやりたい気持ちが伝わる」と話すほど、真剣に土俵に打ち込んできた。「目標は勝ち越しだったので、ホッとしています」。名門とはいえない早大出身力士の挑戦。序ノ口の全勝は2人だけで、あと2番勝てば優勝の可能性もある。早大出身力士の優勝は35年の笠置山の十両優勝のみ。74年ぶりの快挙も、決して夢ではない。

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2009年3月24日のニュース