新理事長“エア立ち会い”に待った!

[ 2008年9月14日 06:00 ]

土俵祭に臨んだ武蔵川理事長(右)

 大麻問題や理事長交代などで揺れる中、大相撲秋場所は14日、東京・両国国技館で初日を迎える。8日に就任した武蔵川新理事長(60=元横綱・三重ノ海)は早速、土俵上の綱紀粛正に着手。土俵祭り後に審判部の親方全員を集め、立ち合いの正常化を徹底するよう異例の訓示を行った。両手をつかなかった場合は取組のやり直しも辞さぬ構えで、フライング気味の立ち合いが目立つ朝青龍らに“待った”をかけた。

 厳粛なムードで行われた土俵祭り後、武蔵川新理事長は出席した審判部の全親方を呼び寄せ、こう切り出した。「立ち合いで手を合わせるように徹底してもらいたい。手をつかない力士がいたら、止めてもう一度仕切らせてほしい」。異例の訓示は5分間に及んだ。放駒審判部長(元大関・魁傑)も「以前は微妙でも呼吸とか合えば良かったが、今度はしっかり手をつかせてほしい」と厳しく取り締まる方針を打ち出した。
 本来、立ち合いは両手をつくことが正しく、84年秋場所から義務づけられていた。しかし、勝負の8割は立ち合いで決まると言われるだけに、各力士はルール度外視で自分の間合いを優先。過去何度も立ち合いの正常化が叫ばれたが、最近では朝青龍、白鵬、安馬ら、手もつかずに立つ“フライング力士”が増加。特に朝青龍と安馬の立ち合いはひどく、ファンから苦情が寄せられていた。
 立ち合いの乱れは審判部も問題視。7日に行われた立浪一門の連合稽古でも、しっかりと手をつかない安馬に対し、朝日山親方(元大関・大受)が「手をつきなさい」と注意する場面があった。武蔵川理事長は「最近は手つき不十分が多いし、全くついていない人もいる。手をつかなければやり直しだ」と断言。その旨を記した文面を東西支度部屋に張り出すとともに、全行司に通達することも示唆した。
 不祥事に対し厳格な態度で臨むことを宣言した新理事長は「土俵上のマナーが悪い力士は(審判部が)呼び出して、怒らないと」とまで話した。何か問題を起こせば理事長から呼び出されることが確実な朝青龍にとって、再起を期す秋場所は立ち合いから気が抜けない状況となった。

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2008年9月14日のニュース