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【東京農業大学】ボルネオの環境DNAから絶滅危惧種検出

[ 2017年6月12日 05:30 ]

 東京農業大学農学部の松林尚志教授、同大生物資源ゲノム解析センターの石毛太一郎研究員、千葉県立中央博物館の宮正樹生態・環境研究部長、京都大学生態学研究センターの潮雅之連携研究員らの共同研究グループは「環境DNA」を分析し、ボルネオ島熱帯雨林の天然のミネラル源「塩場」の水から、オランウータンをはじめとする絶滅危惧種の検出に成功した。

 松林教授らは2003年から、ボルネオ島北部のマレーシア・サバ州、デラマコット商業林において天然のミネラル源「塩場」に着目した自動撮影カメラによる哺(ほ)乳類調査を行ってきた。これまでの調査で樹上性のオランウータンが塩場をよく利用していることなども新たに明らかになった。ただし、種によって利用する塩場に大きな偏りがあり、それを把握するには長期間の調査が必要であった。

 そこで、塩場の環境DNAを調べることで利用種を効率よく把握できるのではないかと考え、4カ所の塩場からコップ1杯(100〜150ミリリットル)の水を採取し、DNAを抽出、解読した。その結果、世界で初めて熱帯雨林の塩場の水からオランウータンや野生ウシのバンテン、センザンコウを含む6種の絶滅危惧種の検出に成功した。また検出された種は、これまでの自動撮影カメラの結果と同様、各種の利用特性を反映していた。これらの結果から、高温多湿でDNAが分解されやすい熱帯雨林においても本技術により効率的に哺乳類調査を行えることが示された。

 本研究をモデルケースとして、今後、他の熱帯商業林、または長期調査の難しい地域の塩場においても野生動物の生息状況を把握する有力なツールになることが期待される。

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