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こだわり旬の旅

【栃木・日光&栃木】蔵の街の新名物 シンプル&ヘルシーな江戸料理

[ 2016年11月2日 05:30 ]

お膳に並んだ江戸料理。どれも味わい深い(岡村智明氏撮影)

 同じ歴史の街でも栃木市は昔に戻り、江戸料理を登場させた。江戸時代から例幣使街道の宿場町などとして発展、今も蔵の街並みが残る「小江戸」栃木だが、同じ「小江戸」と呼ばれる川越(埼玉県)や香取(千葉県)に比べて売り物が少なかった。そこで「小江戸なら江戸料理で観光客をもてなそうということになった」(同市商工観光課)という。

 早速、料理研究家の冬木れい氏をアドバイザーに(1)江戸期の料理本や文献をもとに再現した料理(2)受け継がれてきた郷土料理や栃木ならではの食材を生かした料理(3)江戸のエッセンスを感じさせる創作料理――という三か条を決定。「とちぎ江戸料理」として約50種類のメニューが完成した。

 提供する店は20軒。街の中心部を流れる巴波(うずま)川沿いの料理店で懐石仕立てを味わったが、酢みそで食べる「鯉の洗い」や儀礼食に欠かせない「煎り酒(梅を使った調味料)仕立ての芋茎(ずいき)なます」、鶏肉にみそを練り込み野菜と合わせ煮込んだ「鳥の濃漿(こくしょう)」、水切りした豆腐をサイコロ状に切り油で揚げた「霰(あられ)豆腐」、くちなしの実で炊き上げた「染飯(そめいい)」など、地元の旬の食材をシンプルに調理したヘルシーなものばかり。江戸に負けじと作り上げた地元料理人の心意気が感じられた。

 店の前の巴波川は、舟で物資などを運んだ舟運(しゅううん)で江戸との交易地として栄えた栃木の大動脈。食後、同川を運航している遊覧船(乗船料700円)に乗ったが、船頭さんによって小型船が進む風情は舟運を思い起こさせる。江戸料理は確かに「小江戸とちぎ」にアクセントを与えたようだ。

 ▽行かれる方へ 東武鉄道栃木駅下車。車は東北道栃木IC利用。江戸料理はコースで1500~1600円から。問い合わせは栃木市観光振興課=(電)0282(21)2374、同市観光協会=(電)同(25)2356。

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