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こだわり旬の旅

【長崎・新上五島&小値賀】遣唐使が伝えた味 のど越しツルッうどんづくり

[ 2016年9月2日 05:30 ]

潜伏キリシタンが建てた頭ヶ島天主堂。登録前だが、世界遺産の雰囲気が漂う
Photo By スポニチ

 世界遺産の推薦候補として選定された長崎の教会群とキリスト教関連遺産。その2つの教会がある五島列島の新上五島町と小値賀(おぢか)町に出掛けた。悪天候で1つしか見ることができなかったが、名産「五島手延べうどん」を造って、食べて堪能。小値賀では不思議な玉に出会ったり、古民家レストランで創作料理を味わうなどして“離島ツアー”を楽しんだ。

 300年に及ぶキリシタン禁教令の弾圧に耐え、潜伏キリシタンとして暮らした信者たちが築いた長崎の教会群。新上五島町には29の教会があるが、その中で世界遺産の推薦候補に選ばれたのが島の玄関口・有川港から車で約20分の頭ヶ島(かしらがしま)天主堂だ。

 信者たちが近くの島から切り出した砂岩を積み上げて造った全国でも珍しい石造りの教会で、1919年(大8)に完成。外観は重厚な感じだが、中に入ると船底のような折り上げ天井にツバキをモチーフにした花柄があしらわれ、やさしい雰囲気。「花の御堂」とも呼ばれており、心が癒やされる。

 こうした教会とともに五島の歴史が育んできたのが、日本3大うどんの1つといわれる「五島手延べうどん」。同天主堂から車で約45分、その発祥の地という船崎地区へ向かった。海に面した風光明媚な場所で、今も9軒の製麺(めん)所で手延べ製法でうどんを製造。一角にある船崎饂飩(うどん)伝承館でうどんづくりを体験した。

 「かつて五島を寄港地として利用していた遣唐使がうどんを伝えたといいます。海から吹く北西の風がうどん乾燥に適していたようです」とは講師役の西崎美恵さん(55)。体験は(1)かけば(2)こびき(3)はたかけ―の作業で、まずはひも状になった生地を2本の竹管に交叉させながらかけていく。できたらしばらくねかせ、2人で竹管を持って引っ張り合い生地を伸ばす。細長くなった生地を「ハタ」という干し具にかけると、まるでのれんのようだ。

 体験はここまでで約1時間。最後は自作の生うどんの試食だ。食べ方は定番の「地獄炊き」。鍋でゆでたうどんをアゴ(トビウオ)だししょう油ベースと、とき卵にしょう油をたらした2つの出し汁で食べるのだが、どちらもツルツルッとしてのど越しが良く、いくらでも食べられる。普通のうどんより細い五島うどんだが、自分で造ったと思うとこれまでのどのうどんよりおいしかった。

 ▽行かれる方へ 長崎港から高速船で約1時間40分。佐世保港からは同1時間20分。うどんづくり体験は4人まで1万円。5人以上は1人2200円。問い合わせは新上五島町観光物産協会=(電)0959(42)0964、新上五島町観光商工課=(電)同3851。

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