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こだわり旬の旅

【群馬・中之条町】個性さまざま7つの庭 500種咲き競う花園「中之条ガーデンズ」で癒やしの時間を

[ 2021年5月3日 15:00 ]

6月になると1000株以上のバラが咲くというローズガーデン(中之条町観光協会提供)
Photo By 提供写真

 群馬県中之条町に「中之条ガーデンズ」がグランドオープンした。大藤を移植してあしかがフラワーパーク(栃木県足利市)を黒字化させたパーク元園長の塚本こなみさんらを迎え、改修を開始して5年。自然植生を基本にした7つの庭とファームエリアを持つ観光庭園に生まれ変わった。花を中心にした町づくりの拠点と位置づける新名所を、お先に拝見――。

 「いつ、どこを歩いても1人ひとりにとって小さな発見がある庭」がコンセプトの中之条ガーデンズ。塚本さんを総合アドバイザーに、全体の設計とデザインを空間デザイナーの吉谷博光さん、花の計画を英国園芸研究家の吉谷佳子さん、バラを横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザーを務める河合伸司さんという演芸業界の第一人者が担当。5年かけてオープンにこぎつけた。
 それだけに見所は多く、7つの庭に約1000本の花桃をはじめとした約500種類の植物。この日はあいにくの雨で、時期的に咲く花の数も少なかったが、各所で“小さな発見”があり、退屈することはなかった。

 標高480メートル。正面ゲートを入り高台から見下ろす庭園は、面積12万平方メートルと東京ドーム約3個分の広さ。六角形をしたイベント館の花みどり館へ向かって、紐の結び目のような模様に植栽された「ノットガーデン」が広がる。隣には塚本さんが手掛けた「大藤棚」。5月初旬から紫や黄などの花が咲くという。

 左手に進むと「ローズガーデン」。350種1000株以上のバラが6月初旬から見頃を迎えるが、河合さんが思い描いたのは「景色として楽しめるバラ園」。バラを下草や他の花々と組み合わせ、水を張った浴槽や池を配するなど随所に演出が施されている。訪れたのは4月中旬だが、ピンクの花桃、赤や白のチューリップ、黄色いレンギョなどが咲き誇り、バラがなくても十分美しい。

 同ガーデンを出ると、眼前には吉谷佳さんの「スパイラルガーデン」。直径40メートルの立体的な渦巻き状の庭園で、高い目線から鑑賞できるのが特徴。「花を文化としてとらえ、エンターテイメントを重視した」(吉谷佳さん)という。

 「花は文化」は塚本さんら4人の共通した認識で、「文化を表現する庭造りを心掛けた。観光施設というより文化施設」と吉谷博さん。ガーデンズの東側がその文化ゾーンといい、絵を描くように植物が植えられた「ナチュラルガーデン」、食用バラやリンゴが栽培される「中之条ファーム」などを配置した。

 「毎年花が咲き変わるように、庭は永遠の未完成。コロナ禍で閉塞感に見舞われる中、心安らぐひとときを過ごしてほしい」と塚本さん。ガーデンズ内を散策して約1時間。雨がやむことはなかったが、心の雨はすっかり上がっていた。

 ▽行かれる方へ JR吾妻線中之条駅からバスで約15分。車は関越道渋川伊香保ICから約40分。園内に美野原食堂、ローズカフェなど。入園料は「花の見頃」に合わせた変動制で、6月までは400~1000円。問い合わせは中之条ガーデンズ=(電)0279(75)7111。

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