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こだわり旬の旅

【長野・信濃町】「癒やしの森」で森林セラピー ステイホームのストレス発散

[ 2021年3月22日 15:00 ]

癒やしの森へ、森林セラピーの出発だ!(信濃町振興局提供)
Photo By 提供写真

 作家で自然保護活動家のC・W・ニコルさんが愛した長野県信濃町。保養型観光地を目指して「癒やしの町づくり」を進めているが、その拠点、黒姫山(標高2053メートル)の麓に広がる「癒やしの森」で森林セラピーを楽しんだ。トレーナーの指導の下、歩いて、背を伸ばして、空気をいっぱい吸って…コロナ禍によるステイホームで鈍った体からストレスが吹き飛んでいくようだった。

 「これはシラビソの木。葉は甘い匂いがします」。しなの鉄道黒姫駅からタクシーで15分。森林セラピーの出発点、黒姫童話館を後にしてすぐ、森林メディカルトレーナーの鹿島道岐子さんが、扁平で線形をした葉を取って教えてくれた。匂いをかぐと、確かに甘い香り。各地で目にする針葉樹の新たな発見に心が弾んだ。

 自然豊かな森林が広がり、06年に林野庁から「森林セラピー基地」第1号の一つに認定された信濃町。セラピーロードとして設けられた3つの癒やしの森コースから、選んだのは初心者向けの、御鹿(おじか)池を回る約1・2キロコース。季節に関係なく年間を通して歩けるのが売りで、小雨交じりの曇天も妨げにはならない。

 「次は川の音を聞いてみましょう」。鹿島さんにならって脇を流れる小川に耳を傾けると、サラサラと優しいせせらぎ。黒姫山から流れてくるそうで、風に揺れる木の葉の音とのハーモニーが心に響く。夏には、自然治癒力を引き出すという独生まれのクナイプ療法を手本に、川に足をつけて水療法を行うという。

 途中でつまようじの原料となるクロモジの木を見つけた鹿島さん。枝を細く切って、手の爪の根元を押して刺激する。爪もみ療法というそうで、「アレルギーなら親指、消化器なら人差し指など、爪の根元には自律神経機能のツボがあって、症状によってそれぞれの指を押すと良いですね」

 童話館から30分も歩くと御鹿池で、霧でかすむ幻想的な光景を前に、東屋で休憩を兼ねたティータイム。鹿島さん手作りのハトムギ、ドクダミなど約10種類の薬草による善光寺延命茶を飲み、りんごケーキなどを味わうと、ほっこりした気分。心安らぐひとときだ。

 一息吐いたら池畔で丹田式呼吸法を体験。酸素をいっぱい体内に取り入れ、細胞を活性化させると同時に、平常心を生み出すセロトニン神経を活発化させる呼吸法で、鹿島さんの掛け声で足を開き、万歳をするようにして深呼吸。何度か繰り返すうちに体が軽くなり、五感が開かれていく。

 「森林セラピーは生理的にリラックスすることができ、免疫力もアップすると科学的に証明されているんです」と鹿島さん。童話館に戻るまで約2時間。コロナ禍で失われた時間を取り戻したような気分だった。

 ▽行かれる方へ 黒姫駅へは北陸新幹線長野駅乗り換え。車は上信越道信濃町IC利用。セラピー参加料はトレーナー1人で1人半日(3時間)税込み1万円、2~5人同1万5000円など。問い合わせはしなの町ウッズ・ライフコミュニティ=(電)026(255)5925、信濃町協会=(電)同3226。 

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