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こだわり旬の旅

【高知】東部地区も魅力いっぱい 廃校利用の水族館、絶妙味わい魚介類満喫

[ 2020年3月13日 19:00 ]

25メートルプールとサブプールで泳ぐシュモクザメやウミガメ。元小学校とは思えない
Photo By スポニチ

 坂本龍馬でおなじみの高知県だが、その影に隠れて?意外に知られていないのが、安芸市や室戸市などがある東部地区。だが調べてみると、廃校を利用した水族館やトロットロの美肌温泉、神秘の鍾乳洞、洞窟など、珍しくて魅力的な観光ポイントがいっぱい。スイーツもおいしく、新型特急気動車2700系、オープンデッキカーを乗り継いで東高知を訪ねた。

 室戸岬にこんな水族館があったとは!後免駅発のオープンデッキを設けた土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」に乗って、終着点・奈半利駅からタクシーで約40分。室戸市の「むろと廃校水族館」はその名の通り、小学校の廃校舎を利用した水族館。初めて見る光景に驚きつつ感心もした。

 げた箱や職員室が残る1階から2階に上がると、教室だった部屋に直径約3メートルの円形水槽が3つ置かれ、エイやサバ、カメなどが回遊。廊下にはタカアシガニなどが入った水槽が並び、手洗い場に伊勢エビ、跳び箱を改造した水槽に金魚。さらに25メートルプールにはウミガメやサメ、シイラなどが悠々と泳ぐ。イルカやアシカなどの“スター”はいないが、その数約50種1000匹。「ほとんどが地元漁師さんからいただいたり、うちの職員が釣ったもの」と館長の若月元樹さん(44)は笑う。

 水族館に生まれ変わったのは18年(平30)4月。NPO法人「日本ウミガメ協議会」(本部・大阪)が、01年から室戸市で学術調査を行っている間に市内の小学校が2ヵ所も廃校閉鎖。それを惜しむ気持ちから、指定管理者として運営を引き受けたという。

 改装費は約5億円。当初、損益分岐点は年間入場者4万人といわれたが、昨年末で18万人に迫る勢い。「目玉がないのがウチの売り。お金もないし、これからも身の丈に合った魚を扱っていきたい」と若月さん。大型水族館が人気を呼ぶ中、気負いのない手作り感がとても新鮮だ。

 そんな水族館から海岸沿いの国道55号線をバスで約40分(乗り換え含む)。明治維新の勤王の志士、中岡慎太郎の銅像が見下ろす室戸岬先端を歩くと、景観は一変。地震などの地殻変動で隆起したという海底のダービタイト層や海食、風食が進んだ岸壁など、世界ジオパークらしいジオサイトが点在。縦横無尽に枝が伸びる奇っ怪なアコウという木も茂るなど、その迫力に圧倒された。

 昼食は近くにある「ホテルジオパーク夢路灯」のレストランでキンメダイ定食(2200円)を食べたが、黒潮が流れる雄大な太平洋を前に、キンメの煮付け、カツオのタタキ、アジの酢漬けなど地元で獲れた魚介類の個性がコラボして絶妙の味わい。廃校水族館と室戸岬同様、素朴さと豪快さのバランスの良さがとても心地よかった。

 ▽行かれる方へ 高知龍馬空港からは車で1時間40分。廃校水族館の入館料600円。室戸岬はガイドツアー(1~10人900円/人)が楽しい。問い合わせは廃校水族館=(電)0887(22)0815、室戸世界ジオセンター=(電)同(23)1610、夢路灯=(電)同(22)6601。

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