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こだわり旬の旅

【青森】真冬も十和田が熱い!バラ色ソウルフードに舌鼓、現代アートはサプライズの連続

[ 2020年2月2日 16:00 ]

十和田バラ焼きゼミナールの舌校長・畑中さん。とにかくハデで元気です
Photo By スポニチ

 冬本番。青森県・十和田湖奥入瀬渓流の氷瀑などを見ようと訪ねた十和田市で、真逆の“熱い”ご当地グルメに出会った。牛バラ肉と玉ねぎを鉄板で焼き上げる「十和田バラ焼き」。13年のB―1グランプリで優勝したことのあるソウルフードで、推進団体のリーダーの熱さもかなりのもの。近くには常識破りの美術館もあり、厳寒を吹き飛ばしそうな勢いだった。

 「ラビアンローズ(バラ色の人生)!」。東北新幹線七戸十和田駅からバスで40分。「十和田バラ焼き」を食べようと「司バラ焼き大衆食堂」を訪ねると、ハデな貴族風のタキシードに身を包んだ男性がお出迎え。ランチ気分でいただけに度肝を抜かれた。

 十和田バラ焼きは牛バラ肉と縦切りした玉ねぎを名物ニンニクの特製ダレと混ぜて鉄板で焼き上げる料理。お隣、三沢市の米軍が払い下げた牛バラ肉の調理法を考える中で生まれたバラ焼きを商品化したもので、同店はその十和田バラ焼きをツールに十和田市の魅力を全国にPRしようと活動するボランティア団体「十和田バラ焼きゼミナール」のアンテナショップ。男性は団体の“舌校長(ぜっこうちょう)”畑中宏之さん(56)だ。

 「団体は東北新幹線新青森駅開業の2年前、08年末に結成しました。“まじめにバカをやる”をモットーに、バラつながりで漫画『ベルサイユのばら』にあやかり貴族風の格好をしてるんです」。本業は美容師だが、肩書き通り口は絶好調。「ラビアン…」は歓迎の言葉というわけだ。

 現在、十和田バラ焼き店は市内に約80軒。同店は建屋に屋台を入れた小屋風のつくりで、鉄板に玉ねぎを広げ中央にバラ肉をこんもり盛るのが特徴。玉ねぎに色がついたらバラ肉と一気に混ぜ合わせてほおばると、タレのコクとバラ肉の甘さ、香ばしさが口いっぱいに広がる。バラ色の人生ならぬバラ色の味わいだ。

 心地良い満腹感で向かったのは、同店から徒歩5分の「十和田市現代美術館」。こちらも単に近いからだったが、展示室に足を踏み入れた途端、食後の眠気は吹っ飛んだ。まずは高さ4メートル近くの主婦像。彫刻家ロン・ミュエクの「スタンディング・ウーマン」で、巨大さに加え肌、シワ、血管、髪の毛など人間の身体を克明に再現した姿は見る者を圧倒する。

 それだけではない。鏡の中で実像と虚像が錯綜する「メモリー・イン・ザ・ミラー」、暗闇の中で高速道路がどこまでも続く「ロケーション」、天井裏に驚きの世界が広がる「ザンブランド」など、草間彌生、オノ・ヨーコを含む33組の世界的アーティストの作品38点を展示。まさにサプライズの連続で、「アートを通した新しい体験の提供」というコンセプトから透けて見えるそれぞれの個性に「ラビアンローズ!」と叫びたくなった。

 ▽行かれる方へ 車は百石道路下田百石ICから国道45号線など利用。飛行機は三沢空港から車で40分。十和田バラ焼きはご飯、スープ、漬け物付きで1000円。現代美術館は入館料常設展520円、企画展800円など。問い合わせは司バラ焼き大衆食堂=(電)080(6059)8015、現代美術館=(電)0176(20)1127。  

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