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こだわり旬の旅

【山陰・島根&鳥取】神話と妖怪 観光列車「あめつち」「鬼太郎列車」で楽しむ2つの世界

[ 2018年9月2日 19:00 ]

真っ青な空と海の海岸線を走る「あめつち」。紺碧色のボディーがよく似合う(JR西日本提供)
Photo By 提供写真

 西日本豪雨からの復興著しい中国地方の島根、鳥取両県で、JR西日本の観光列車「あめつち(天地)」と「鬼太郎列車」が元気に走っている。片や7月に山陰本線に新登場、一方は同月までに車内外装のデザインがリニューアルされたばかり。2つの列車を乗り継ぎ、JRが山陰デスティネーションキャンペーン(DC)を展開中の両県を回った。

 「あめつち」は山陰地方を舞台にした神話が多く書かれている古事記の「天地の初発(はじめ)のとき」という書き出しに由来した名前。山陰本線鳥取(鳥取市)―出雲市駅(島根県)間を1日1往復。縁結びの神で知られる出雲大社(おおやしろ)の玄関口、出雲市駅から午後1時41分発の列車に乗った。

 2両編成で、車体全体の「紺碧色」は山陰の真っ青な空や海を、車体下部の「銀色」の帯模様は山陰の美しい山並みと、たたら製鉄に因んで日本刀の刃文を表現。車内も天井に因州和紙、テーブルに石州瓦、窓側壁面に隠岐の黒松、洗面台の手洗い器に岩井窯など、山陰の工芸品が各所に使用されている。

 車両を見るまでもなく、出雲市駅を出発してからは車窓を絶景が流れていく。古事記にも記されている斐伊川(ひいかわ)、夕陽で知られる宍道湖など代表的な景色が広がる区間では速度を落として運転。車内で提供される島根牛、大山鶏、地魚などの料理と地酒「豊の秋純米吟醸花かんざし」がセットになった「山陰の酒と肴(さかな)」(税込み2000円、要予約)の味わいが、その美しさを引き立てる。

 午後3時半過ぎ、途中の米子駅で下車。翌日、JR境線米子(鳥取県米子市)―境港(同境港市)駅間を運行する「鬼太郎列車」に乗車した。ご存じ、水木しげる氏の妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターをラッピングした電車で、全6車両を今年1月から7月にかけて、キャラクターと山陰の景勝地をイメージしたデザインにリニューアル。鬼太郎をはじめこなきじじい、目玉おやじ、ねこ娘などのイラストが車体はもちろん、車内の座席、天井などに描かれ、撮影スポット席まで設けられている。

 それだけではない。ねずみ男駅(米子駅)、砂かけばばあ駅(大篠津駅)、鬼太郎駅(境港駅)など区間全16駅にキャラクター名が付けられており、境線というより“妖怪線”。乗っているだけで楽しくなる。

 米子駅から1時間。終点・境港駅ではねずみ男がお出迎え。境港市観光協会によると、列車が着く度に何らかの妖怪キャラクターのぬいぐるみが駅で歓迎してくれるそうで、それもまた楽しみ。神話から妖怪へ。2つの観光列車は旅人を異次元の世界へ誘ってくれた。

 ▽行かれる方へ あめつちは毎週土・日・月曜に運行。乗車券のほか普通列車の指定席グリーン券が必要。鬼太郎列車は普通車料金。山陰DCは9月末まで。問い合わせは山陰DC協議会=(電)0852(22)5619、JR米子支社営業課=(電)0859(32)8056。

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