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こだわり旬の旅

【北海道・余市&小樽】衰えぬマッサン人気 政孝&リタの夫婦愛感じる蒸留所

[ 2017年10月6日 19:10 ]

とんがり屋根が印象的なニッカウヰスキー余市蒸留所。今も見学客が引きも切らない
Photo By スポニチ

 北海道新幹線が開業して約1年半。乗車率も上々で観光面に活況をもたらしているが、そんな中で相変わらず人気なのが、余市町の「ニッカウヰスキー余市蒸留所」。NHK連続テレビ小説「マッサン」で人気を博し、終了後も連日見学者でにぎわっている。ウイスキー復活に貢献したともいわれる同蒸留所を起点にニセコや小樽など、道南地区を回った。

 JR函館本線余市駅から徒歩約5分。“マッサン”竹鶴政孝が設立したニッカウヰスキー余市蒸留所は、「マッサン」放送が終了してから2年半経っても多くの観光客が訪れていた。政孝の妻・リタの名前を取って付けられた蒸留所前の「リタロード」(町役場まで約1・3キロ)では、記念撮影をするカップルの姿も。参加した見学ツアーのガイドさんによると、放送があった15年の年間90万人には及ばないが、それまでの入場者数(約28万人)は上回っているという。

 政孝がここに余市蒸留所の前身、大日本果汁株式会社を築いたのは1934年(昭9)。そばを流れる余市川の澄んだ流と空気、ウイスキー造りに欠かせないピート(泥炭)が豊富にあったからだが、一番喜んだのがリタ。朝夕の風景が故郷スコットランドによく似ていたからだという。

 余市蒸留所も同国の蒸留所をモデルにしたため、正門をはじめ、とんがり屋根の乾燥棟や発酵棟など、異国のようなたたずまい。中でも政孝がこだわったのは蒸留棟での巨大ポットスチールによる石炭直火蒸留。「石炭の強い火力で発酵液を熱することで芳醇(ほうじゅん)な香りの原酒が生まれるのです」とガイドさん。

 その味はウイスキー博物館のウイスキー倶楽部(有料)やニッカ会館の試飲(無料)で楽しめるが、その前にぜひ見ておきたいのが、館内に展示された、政孝がリタの誕生日にプレゼントしたという洋書。ラブレターのような英文のメッセージが「massan」の署名入りで添えられている。また、余市郊外から移築された旧竹鶴亭の玄関もリタの実家と同じ造りになっており、いかに政孝がリタを愛していたかが分かるだろう。

 ニッカ会館の試飲コーナーでは、政孝から受け継がれたブレンドの技と志から生み出された「竹鶴ピュアモルト」とウイスキーのレジェンド「スーパーニッカ」、そして1928年(昭13)から愛され続けている「アップルワイン」の3種類(各1杯)を用意。政孝が追い求めた芳醇な味わいを楽しむことができたが、わずか3杯でほおが赤くなったのも政孝とリタの愛情に触れたのと無縁ではないかもしれない。

 ▽行かれる方へ JR新千歳空港駅から余市駅まで約1時間半。車は新千歳空港から約2時間半。見学ツアーは午前9時〜午後3時半、30分ごとに実施。所要時間約90分。問い合わせは余市蒸留所=(電)0135(23)3131、余市観光協会=(電)同(22)4115。

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