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夏の夜ワクワク、タチとの遭遇 置き竿よし手持ち竿よし“大型シーズン”目前!! 沼津・常勝丸

[ 2024年8月15日 04:30 ]

良型タチウオを仕留めた秋山さん
Photo By スポニチ

 【博覧釣記】静岡県淡島沖で夏の風物詩・夜釣りのタチウオが活発に釣れている。納涼気分で乗船できる、まさに「大人の夜遊び」。しかも、ドラゴンサイズが浅場で顔を出すのだからやめられない。早速、沼津・常勝丸へ向かった。(国友 博文)

 常勝丸の鈴木茂船長が船を止めたのは、航程10分足らずの船着き場の目の前。まずは水深60メートルから釣り開始。

 餌のサンマは白い部分を下にしてハリに縫い刺し、ヒラヒラさせて魚にアピールする。80号のオモリが着底したら、ハリス分巻き上げてシャクリ、当たりがなければ再びシャクる…ヒットするタナを早く見つけられるかが釣果を左右する。竿先を上げると「クン」と小さな当たりがあり、そのまま手を止めずにシャクリ続けると「グギューン!」。しびれを切らせたタチウオが、餌に飛びついてきた。この瞬間がたまらない。幸先良いスタートに自然と笑顔になる。

 常連の静岡県三島市・渡辺隆司さん(73)は胴調子竿を置き竿にする独自のスタイルで狙っている。超スローで巻き上げる途中で当たりがあり、そのまま巻き上げれば竿先が海面に突き刺さる。一丁あがり。これぞご当地自慢の「オートマチック釣法」。これは面白い。

 周囲が薄暗くなると、船内に明かりがともされ、タチウオの好きな小魚が水面近くに集まってくる。沼津の釣りをこよなく愛する秋山浩二さん(71)は、竿を手に持つスタイルで誘いじっくり当たりを待つ。「コツコツっと小さい当たりで掛けた時はたまりませんね」と良型を引き抜きエビス顔。聞くと港から徒歩30秒にお住まいとか。これはうらやましい。筆者は常連客を見本に、ご当地釣法で構える。デッドスローで巻き上げると、同乗者から「当たってる、当たってる」の声。そして、竿先が絞り込まれた。タチウオも夜になると警戒心が弱くなり、食い込みも早くなって釣りやすい。

 シャクると手に伝わる違和感「もたれ」が分かるようになれば数を伸ばすことができる。浮遊物を引っ掛けたような感触なのだが、これはタチウオが餌をくわえている状態。ここから間合いを詰め、焦らせて、餌に飛びつかせる…。この駆け引き、まるで恋愛のようだ。当たりが出るタナが分かれば勝負も早い。ピンポイントで攻めれば狙い通りにヒットする。鈴木船長は「タチウオの活性が上がれば、タナもグングン高くなるよ」。海面には小魚を追いかけてきたシイラの姿も見えるほか、絶品・ジャンボカマスが竿を曲げることも。

 釣ってよし、食べてよしのターゲットだが、この時季最大の敵でもある暑さから解放され、釣りができるだけでもうれしい。中旬からは夜タチは最盛期に突入する。「名物・ジャンボサイズはこれからですよ」と船長も太鼓判を押していた。

 ≪テンヤもルアーも◎≫常勝丸では餌釣りはもちろん、人気急上昇のテンヤ釣り、そしてルアーも楽しめる。船長のお薦めの餌釣り仕掛けは片天1本バリにオモリ80号、ハリスは8~10号が基本。シンプルで餌の動きが良くてトラブルも少ない。淡島沖は穏やかで、タチウオ釣りの入門にもぴったり。

 ≪刺し身がいけます≫釣りたてで鮮度抜群なタチウオは「素材を生かしたシンプルな料理がおいしい」(鈴木船長)。特に刺し身はスーパーでは売っておらず、食べられるのは釣り人の特権。勇ましい顔からは想像がつかないほどのおいしさで、ファンも上昇中。他にも船長はカバ焼きと骨せんべい、秋山さんはフライ、渡辺さんはみりん干しがお好みだそう。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、沼津・常勝丸=(電)055(941)3163。集合は午後4時、乗合料金は餌・テンヤは1万1000円、ルアーは1万円。午前のマダイ船も出船中。

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