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「ナギサ」で輝いた48センチブラウン “脱管釣り”の第一歩として人気「中禅寺湖」

[ 2022年7月10日 07:13 ]

48センチのブラウンを釣り上げた筆者の妻、幸代。愛犬も同乗
Photo By スポニチ

 【釣遊録】栃木県の中禅寺湖はレイクトラウトが棲息することで有名です。我が国ではここにしかいない希少な魚でしたが、東日本大震災の原発事故の影響を受け、全ての魚に対し一時キャッチ&リリース規則にしたため、自然繁殖してかなり増えました。遠くは北海道や九州からわざわざ狙いに来る方もいます。トラウト愛好家の間では“脱管釣り”の第一歩として人気があります。

 しかしこの湖にはブラウントラウトがいます。今では各地に棲息していますが、実はこのブラウンも元々は中禅寺湖に最初に移植され、繁殖していました。

 今回は避暑を兼ねて、妻・幸代と愛犬・ヤマトと一緒に出かけてきました。ボートハウスでもある民宿おかじんの若旦那、岡本季允さんに聞くと「犬をボートに乗せる人はたまにいますよ」とOK。ところが現地に行ってみると避暑とは程遠い異常な暑さでした。

 この時季の風物詩、春セミパターンを試そうと思いました。しかし多くの仲間が「ワカサギがたくさんいるので、セミはほとんど捕食されていない」というのです。

 そこで幸代は最初からスピニングでミノーを、私はセミフライを投げてみました。

 開始してすぐに妻のミノー「ジャッカルナギサ」にチェイスがあったようです。「茶色い魚が浮き上がってきた」と。私はしばらくセミフライを投げていましたが、一向に反応がないのでルアーに替えました。「ナギサ」を2人で投げまくるわけです。しかしその後、チェイスは全くありません。

 表層水温は20度。これぐらいの水温ならブラウンは平気で水面まで出てくるはず。しかしその後ルアーを替えて探っても、ヒットはありませんでした。とその時、超スローで引いた「ナギサ」に湖底から一直線に浮き上がり、ほんのわずかの距離だけ追尾し、また湖底に潜っていく茶色い影を見ました。

 私たちは魚が普段より深いところにいて、水面のルアーには出て来づらいのではないかと仮説を立てました。本来ならここでジグを沈めたりもするのですが、久しぶりにトロリングをしてみることに。

 若かったころ、地元の釣り名人岩崎一志さんに教わったレッドコア5ヤードの超スローとローリングです。これをエレキで岸すれすれに流すのです。片側にヘリングドジャーをつけた「ナギサ」を。もう片方にはウッドベイトをつけ、岸から10メートルも離れず、水中の壁伝いを引いていきます。

 午前11時に開始してからすぐに「ナギサ」にヒットがありました。ロッドホルダーに掛けたままのロッドがしなり、ドラグクリックが鳴りました。

 妻がロッドを取りファイト開始するとジャンプ。ネットに収まったのはブラウントラウト。48センチでした。

 さらに続けます。置き竿だとヒットの瞬間の感触が味わえないのでつまらないと妻はロッドを手持ちにしました。エレキモーターで船は静かにゆっくり進みます。すると30分もしないうちに「来た!」と妻。ドラグを引き出すほど大きくありませんでしたが、湖岸には倒木があったので船を沖へ出してファイトしました。魚はやや小さく40センチぐらい。しかし今度のはオスでこれぞ中禅寺ブラウンと呼ぶべき美しい茶色の魚でした。(東京海洋大学客員教授)

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