×

のべ竿で50センチ超ヘラブナ狙いも…釣り上げたのはロマン?!

[ 2022年6月5日 07:04 ]

リール付きの竿で筆者が釣ったヘラブナ
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】我が国の釣りのスタイルの中にはこれだけ釣り具が発達しているにもかかわらず、リールを使わない延べ竿釣りという独特の方法があります。

 淡水の釣りでは根強い人気があります。竿の弾力と糸の強さだけで魚とやりとりするのです。文化として継承されている釣り方ですが、延べ竿釣りには決定的な弱点があります。それはリールがないため、大物釣りに向いていないことです。

 リールには「遠くへ飛ばす」「深く沈める」「巻いてルアーを動かす」など釣るまでの利点もありますが、大魚が掛かった時、糸が切れないようにドラグという滑り出し装置を利用してやり取りできます。

 東京湾のシーバス釣りのガイド岡本慶一郎さんは、湖で50センチオーバーのヘラブナを釣りたいと延べ竿でここ数年頑張っていますが、やはり切られることも多いようです。それは仕方がないことだと言います。掛かった魚が目的のヘラなら切られることはまずないそうですから。

 彼から河口湖のヘラブナ釣りのお誘いを受けたので私はリール付きでやってみました。ニゴイやナマズなら糸を太くしておけば掛かってもなんとか対処できますが、巨ゴイが掛かる可能性もあるわけでそういう魚に糸を切られたくないからです。幸い我が家には磯竿がありますので、その中からクロダイ用6・3メートルを選び「コロネット」というワカサギ釣りに使う超小型ベイトリールを装着しました。道糸は2号、ハリスはサンライン「Vハード」1・5号。ハリはがまかつ「ゴスケ」15号。

 餌はマルキユーの「ダンゴの底釣り芯華(しんか)」です。

 また脚立を改造した遠浅用のヘラ台も製作しました。これで50センチのヘラブナはもちろん、80センチを超える巨ゴイが掛かっても大丈夫です。河口湖は時にメーターオーバーのコイも上がっているのでワクワクします。岡本さんの話では当たりと同時に瞬殺で切っていく魚もいるそうです。

 実際に釣りを一緒にしてみると私の横で岡本さんは何匹か切られていました。「持っていかれたウキは高いんだよね~」と苦笑していましたが、フライの達人でもある岡本さんは延べ竿で釣りたいそうです。

 最初の当たりが出たのは開始後2時間。しかももニゴイとブルーギルの猛襲。それはそれで釣りとして楽しみながら、ついにヘラブナが釣れました。狙っていたサイズには全く届かない小型でしたがきれいな魚でした。

 こうじゃなきゃいけないという考え方をこうやったら面白いんじゃないかという発想に変えるということも楽しみであるということです。それができるかできないかは年齢と、頭の柔軟さにあると考えます。若者ほど考え方が柔軟で、それゆえこの10年で新しいスタイルの釣りがたくさん出てきました。

 伝統を重んじるというならば、ロッドはカーボンではなく竹製を使い、練り餌もマルキユーなどが開発した最新練り餌を使わず、芋を蒸したりして自作すべきかと思いますが、そういう人はまずいません。また本当に伝統を大切にする人たちは新しいものを否定しません。

 今回のように規格外の大物狙いは簡単ではありませんから、認識、思想、釣り全体の価値観を革命的に個人の中で変化させるパラダイムシフトを行う必要もあるかと思います。

 野釣りで目標50センチオーバー。当たりがあっても釣れない精神修養の釣りが、ロマンを与えてくれることになりました。(東京海洋大学客員教授)

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る