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高齢トリオ和竿あいあい 貴婦人シロギス攻略 平均年齢74歳…竹からゆとり&元気の酵素もらって

[ 2022年5月24日 07:03 ]

射場さん納得の“自作自演”
Photo By スポニチ

 【実釣見分】思い立って和竿でシロキスを狙った。最近ではとんとお目にかからない。酔狂かと思いつつ葛西橋・第二泉水へ。するとご同輩が2人。即席高齢トリオ・ザ和竿とあいなった。(スポニチAPC・町田 孟)

 竿置き場に何本かの和竿が眠っている。手作りのもらい物だ。四十数年前か。和竿をこの手で、と解説本を買った。前書き段階でホコリをかぶる運命に。女性と工作にはまるっきり不器用なのに血迷った。
 無念の思いをある船宿で漏らした。と、顔なじみの常連さんが「作ってやるよ」。2カ月ほどした5月半ばに手渡された。聞けば手が込んでいる。使用するウルシに「砥(と)の粉を混ぜて塗り、ナイロンストッキングで表面を滑らかにする」。かなりの年上。しばらくしてぷっつり姿を見せなくなった。

 使ったのは1回きり。感傷的な気分も手伝い“無銘の名竿”の手触りを確かめたくなった。タンスの肥やしじゃないけれど眠らせておくのは申し訳ない。

 「僕のは製作費300円。見てよ、ガイドなんてまちまちでしょ」。石井洋一郎さん(75=江東区)はあけっぴろげだ。かつて紙面にも登場した理髪店主。学生時代は剣道部で4段の猛者。作家の三島由紀夫も通った野間道場で同時期修行したこともある。

 竹刀と和竿の竹道。「心が和むし、のんびり釣ればいい。帰ってからのキューっと一杯がたまらないよ」。キュウリの1本漬けとアメをおごってくれた江戸っ子はその実ロマン派かも。

 「いやーっ、そうと分かっていれば東作を持ってきたのに」。ちよっぴり残念がった。

 射場達也さん(69=所沢市)は筋金入りの愛好家だ。「30年以上前かな。ハゼで釣りを始めたが、竿の調子が合わなくて」と自作の道へ。以来、130本以上製作。「竹を干すのに3~4年。作り始めれば一気に2週間くらいで仕上げる」

 千葉・東金の奥まで大好きな布袋(ほてい)竹採りに出かけるほどのめり込んだ。自宅には100本近く所蔵。「握り部分は太いけれど手になじむ。なんといってもこの世に1本しかないもの」。採・作・釣の探究派だ。

 平均年齢74歳。竹からゆとりと元気の酵素をもらっている。

 中ノ瀬に到着。さあ!軽くキャスト。竿先の感覚はやや緩い。モタレからブルブルまで自然と一呼吸置く感じで食わせの間になっているようだ。

 数十年ぶり、和竿の先で身をくねらせる貴婦人は20センチ級。なんかうれしくなってくるじゃあないの。

 【黒沢正敏船長の見立て】今年の傾向は餌を動かし続けていないと食いつきが悪い。トントンと小突いているときの当たりより止めてからの方が掛かる確率が高い。昨年に比べて型が小さいが数が出ている。これから盛期、期待大です。

 ▼東作とは 230年以上続く江戸和竿の老舗ブランド。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、葛西橋・第二泉水=(電)03(3645)2058。午前7時出船。乗合料金9000円(氷、餌付き)。

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