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“終点”間際にバス52センチ!!オデコ覚悟も最後に本命ヒット 河口湖

[ 2022年4月17日 06:54 ]

52センチの大型バスに笑顔を見せる筆者
Photo By スポニチ

 【釣遊録】春のワカサギシーズンを喜ぶのはトラウト類だけではありません。山上湖に棲息するブラックバスも同じです。そしてこの時季はコイやウグイ、ニゴイもワカサギを食します。いつもすばしっこいワカサギが産卵を終えてフラフラかあるいは絶命していれば、それを簡単に食することができるからです。

 今回は山梨県河口湖に大型バスを狙いに行ってきました。連日、50センチオーバーが釣れているという情報からです。湖畔に住む天野雄太さんにガイドをお願いして彼のバスボート「天チャンピオン」に乗りました。

 バスボートは船の幅もあり安定が良く安全です。私の友人はこのボートのことを「動く桟橋」と言っていました。それほど揺れないのです。経験豊かなガイドにフル装備ボートがあれば鬼に金棒。あとは魚のヒットを待つだけです。

 釣り方は水面に浮かび、風で流れるワカサギをイメージしたトップウオーターゲーム。他にも魚を釣る手段はありますが、この時季しかやれない釣り方であることと、出ればデカいということでこれ一本に絞りました。

 湖へ出てみると有名ポイントにはバスボート、レンタルボートが集まっていてみんなワカサギルアーを投げています。見回したところフライは私だけでした。

 各所で天野さんが水深を伝えてくれました。水深の変わり目あたりにフライをキャストし、そのまま浮かべておくのがこの釣りのセオリーです。死んだワカサギのイメージですからずっと待っていてもいいのですが、もしワカサギの食い気抜群のバスがいたらすぐに食ってくるそうです。

 天野さんは通常30秒、長くても2分で投げ直すそうですが、フライがあまりにもワカサギそっくりなため、もっと長い時間水面に置いてもいいのではないかとアドバイスをくれました。

 彼のおすすめポイントを次々に回りますが、バスは出てきません。大型魚を釣る時は忍耐も必要であることは分かっていますが、午前中を終えてノーバイトでした。

 午後は風が強くなってきました。水面が騒がしい方がバスの警戒心が緩むのでチャンスです。諦めず、ここぞというポイントにフライをキャストし続けました。しかしフライへのアタックはおろか、本物のワカサギを水面で捕食するシーンも見られませんでした。

 時間はどんどんたって、終了時間になってしまいました。「あと1カ所、3投で終了しましょう」とラストサービスで移動した場所は追い風でキャストしやすく、岸から15メートルぐらい離れた場所から10番タックルでUMAミノーがきれいに着水しました。

 波間にミノーが漂います。ラインスラック(糸フケ)を取りながら流し、「今日はオデコだ」と諦めも入った時でした。バホッと音が聞こえたかのように大きなバスの頭がゆっくり水面に出て、フライが消えました。右手は反射的にセットフック。ズシッと重みが乗りました。「食った!」。私は彼に知らせました。

 「マジっすか?」

 天野さんも驚いていました。リールは巻かずラインを手繰りました。彼が動画を撮ってくれていたのはうれしかったのですが、「50超えてますよ」の言葉に私も興奮。「動画よりまず取ろうよ」とラバーネットを出してもらってキャッチ。やった。サイズは52センチ。十分すぎる大物です。

 きょう一日投げ続けた体力的、心理的な疲労が吹っ飛びました。継続は力なり、を証明してくれた1匹でした。(東京海洋大学客員教授)

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