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見て感じて即合わせ フライ見破り吐き出す一瞬見逃すな!!

[ 2022年2月6日 06:59 ]

「食ったと感じたら考えずに即アワセ」の感触を理解できた下畑剣一郎さん
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】フライセミナーで山梨県小菅村の「小菅フィッシングビレッジ」に行きました。参加者は2人。寒さの中、極小水生昆虫にライズするマスを狙うか、水中で捕食するマスを狙うかの2択で始まりました。ご存じの通りフライは偽物の餌ですから、釣るためにはまず魚の捕食射程範囲内にフライを届けることと、本物のように見せることです。

 多くの方々が質問してくるのは「なぜ釣れないのか?」ということですが、その答えはただひとつ。魚がフライを餌だと思っていないから。つまり見破られているからです。

 そんな時どうすればいいのでしょうか?「このフライは絶対に釣れるのだ」と信じていつか食いついてくれるだろうと使い続けるか、流し方を変えるか、フライそのものをどんどんチェンジしてマスをだますことを考えるべきです。

 今回はライズがほとんどなかったので、水中にフライを沈めて釣りましたが、初心者が釣れない理由が新たにひとつ分かり、教える私にとっても非常に勉強になりました。

 それは食いついたのが分からないということです。スレていないマスならば、射程範囲にフライを流せばすぐに食いつき、そのまま反転すれば手元にグーンと重みが伝わってくることもあります。しかし賢くなったマスは、おなかは減っても偽物が来ることを知っているので、見破るという行為と、食いついてもすぐ吐き出すという行動をとります。餌ならここで飲み込んでしまいますから、初心者でも簡単に釣れるわけです。

 食いついたこと(当たり)を察知するためには、見るか感じるかのふたつで、前述のグーンと来るのは感じる方です。水面に流れるフライに浮き上がり、バシャッとなれば分かりますね。また水中を流れるフライは魚も見えている場合、食いついたのが分かりますね。素早く吐き出される前に合わせれば掛かるのです。

 これができないと、どのフライがいいとか、どんなタックルがいいとかいう前に釣りが成立しません。

 また当たりが分かっても、合わせる手が動かなければ掛かりません。今回はそういう意味でも反射神経を磨く練習になりました。

 参加者には見えない当たりも、私は見えることもありますから、「食った」とか「ハイ」って言いますから合わせてくださいねと言っておいても、半信半疑だと合わせられません。

 魚が見えていない時でも、あのあたりをフライが流れているだろうなと思う場所でギラッと光ったら、魚が食いついたものとして合わせると掛かっています。

 この技術は釣りキチ三平から学びました。「毛針の神様」というストーリーの中にそのことが描かれています。約50年前のこの漫画は凄いと思います。道具が変わっただけで魚は変わっていないので、釣り方は全く同じです。フライロッドでテンカラをやる感じですね。

 この合わせを習得するには経験も必要です。難しいという方も多いですが、その難しさを楽しむのがフライだと思います。ちなみに、今回参加者の流したフライを流し切るまでに3匹のマスが追い付き吐き出しましたが、本人は分からなかったそうです。(東京海洋大学客員教授)

 ◯…水中を凝視するので偏光グラスは必携です。ないと極端に釣果が落ちます。どんなものでもないよりマシですが、お勧めはティムコ「サイトマスター」の「イーズグリーン」です。曇り空、夕マズメも水中がよく見えます。私の例ですと、これをかけた時とかけない時では当たりの認知が5倍以上違うと思います。

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