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恋焦がれたコイ60センチ フライで挑戦 何度フラれてもアプローチ

[ 2021年11月28日 06:15 ]

フライで60センチ級のコイを釣り上げた
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】フライでコイを釣ることは30年以上前に師匠の西山徹氏が多摩川をベースに、日本国中に広めた釣りです。

 最初に教えてもらった時は淡水域ででっかい魚がフライロッドを引き絞ることに驚いたものでした。今では当たり前に楽しませてくれているコイですが、別の川でやってみました。

 埼玉県の元荒川にはソウギョを狙って釣行していますが、その際にはコイが泳いでいるのをよく見かけます。パンで釣ったこともありましたから、それを今度はフライで釣ってみようと思いました。

 元荒川は水路のような川で、岸の両面が護岸され急深になっているところが多いので、立ち込んでの釣りができる場所が多くありません。また、浅そうに見えても入ってみると底はヘドロで、ウエイダーがズブズブと埋まってしまう場所も多いので要注意です。
 この日は減水していたので、浅い場所は川底が丸見えで、コイが泳いでいるのも見えました。しめしめと近づいていってパンをまくと、すぐにパクパクやるであろうと思う期待を簡単に裏切り、逃げていってしまいました。
 ソウギョ釣りの際には足元まで寄ってくるのになぜ。注意深くコイを見ていると、こっちの視線を感じるのかもしれません。それほどこの川のコイは賢いのでしょうか。

 用意したロッドはオービス「トライデントTL」9フィート6番、リールはもしかしたらソウギョが掛かるかもしれないのでエーベル「ビッグゲーム2」、ラインはWF6フィート、リーダーはティムコ「スタンダード0X」9フィートにティペットを1メートル、サンライン「FCスナイパー」8ポンドをつなぎました。フライは「ショックパン」というパン型フライです。
 パンをまいてもそれになかなか浮き上がってこなかったのですが、30分ほどまき続けると、下流の方でパクパクが始まりました。その魚がフライの射程範囲に来るまで待ち、キャストをしてみても食いつきません。

 フライを投げるということは当然、フライラインもフライ、リーダーの次に流れていくわけで、1回投げただけで魚は警戒して下流に戻っていきました。

 今度はもっと近くまで来た時を狙おうと我慢して待ちキャストすると、フライを食べようとしたのですが、口の中に吸い込むことはしませんでした。警戒していますね。
 それでまた下流へ逃げていきました。ウエイダーをはいていたので、多摩川のようにゆっくり下流へ歩いて下っていければいいのですが、泥底なのでそれができませんでした。
 最後に取った手段は、コイがいる場所まで上流からウキの流し釣りのようにどんどんラインを伸ばしていくことでした。これならキャストの長さ、下流へ30メートルぐらいはフライを流せます。

 これをやって1投目、フライラインの先でモワッと頭が出たように見えたので、私のフライを食べたと信じて大アワセしました。ラインがたるんでいる分を考慮してです。するとその周辺に水しぶきが上がり、ロッドに引きが伝わってきました。フィッシュオンです。

 掛かった魚は下流へ走ったあと、対岸に向かって川を横切り始めたのでゆっくりリールを巻き、上流へと誘導しました。素晴らしいファイトです。最後はコイらしくドタバタと抵抗を見せましたが無事キャッチしました。サイズは60センチ弱。フライロッドには十分な巨大魚です。

 来季からは本格的にソウギョのフライにチャレンジしてみたいと思っています。(東京海洋大学客員教授)

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