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極付諏訪湖公魚爆釣記

[ 2021年10月25日 07:14 ]

向山さんは電動リールで数釣り 
Photo By スポニチ

 【釣り日和】長野県諏訪湖にワカサギ釣りの季節がやってきた。まだ水温は高めで宙層狙いだが、冬の訪れとともに数釣りも楽しめるようになる。民宿みなとのドーム船に乗り込んだ。(笠原然朗)

 浅葱幕(あさぎまく)を振り落として、一瞬にして舞台を見せるのも歌舞伎の演出の一つ。諏訪湖も前日から10度も気温が下がり、夏から晩秋へと1日にして場面転換だ。

 湖岸の木々は色付き始めているが「水温は18度。例年より3度高いです」と民宿みなとの中沢滋さんは話す。湖水はまだ夏の終わりか?

 室内は半袖でも、汗ばむほどの暑さを避けてデッキで竿を出していたのは浦安市の瀬下義美さん(69)。4・5メートルのハヤ竿に14本バリ。2本竿を駆使しての妙技だ。

 水深は5メートルほど。「タナは2・5~3メートルだね」と竿をあおって誘い、当たりがあったら合わせる、で1匹か2匹ずつだが、確実に数を伸ばしていく。

 水温がまだ高いので底に固まらず、宙層を回遊する群れを狙い撃ちするのがこの時季の釣法だ。

 魚探持参が圧倒的に有利だが、なければ持っている人に聞く。「3メートル」なら「2ヒロ」。両腕を広げること2回。電動リールのフックに糸を固定すればタナ合わせができる。当たりがあって軽く合わせてハリ掛かりすると横に走る。シシャモのような“太閤”は12センチ。黄金色をきらめかせて水面に姿を現した。
 電動リールの2本竿を駆使していたのは伊那市の向山英孝さん(63)。236匹を釣り、この日の竿頭。「数釣りのコツは1に頻繁な餌替え、2に誘い、3に腕です」と話す。

 餌は米2粒ほどの大きさの紅サシ。ハリに掛けてハサミで切るのは面倒だが、向山さんは「5~10分に1回は全て付け替えます」。使った餌は4袋に対して私は3分の2袋。

 「新鮮な餌で魚を寄せて、釣れる場所をつくることが大切です」と教えてくれた。

 歌舞伎の演目風に言うなら「極付諏訪湖公魚爆釣記」(きわめつきすわこわかさぎばくちょうき)の幕は切って落とされたばかり。「知らざぁ釣ってみせましょう」と見えが切れるまであと少し。

 ◯…「ワカサギの師匠から最初に教わった釣り方なので」と手延べ竿で楽しんでいたのは北名古屋市の吉岡宏さん(50)。ワカサギ歴は3年目だが、竿を手作りするほどの力の入れよう。自動車修理工場を経営し、技術を転用できるのも強みだ。「引きが楽しめるのがいいですね」と話していた。

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