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遡上を迎え撃ち ソウギョ105センチ 今年からは禁漁解除 利根川

[ 2021年7月4日 06:07 ]

筆者が釣り上げたのは1メートルを超えたソウギョ
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】釣りのスタイルは人それぞれですが、誰もが一度は1メートルを超える大物釣りに憧れたことがあると思います。

 わが国の淡水の大物として、北海道のイトウ、関西のビワコオオナマズ、そして四国のアカメは日本三大魚として有名。そしてコイ科魚類の大物と言えば中国四大「家魚」と言われるアオウオ、ソウギョ、ハクレン、コクレンがいます。この「家魚」とは養殖魚のことで、巨大魚であっても食性が違うため、一つの大きな池で飼うことができるのです。

 日本へも明治以来、移入が繰り返されましたが、資料によれば1943年(昭18)に利根川水系に放流したものだけが定着したと言われています。

 私が数年前から興味を持ったのがソウギョです。以前フライで70センチ級を釣ったことはありますが、当時1メートルを釣った経験がありませんでした。

 私のソウギョマスターでもある市川満さんは、埼玉県を流れる元荒川で大物ソウギョをたくさん仕留め、その中の何匹かは釣りのギネスとも言われているIGFA(国際ゲームフィッシュ協会)公認、世界記録になっています。

 最大で121センチ、26・2キロ(20ポンドライン・約5号)という超大型です。私も市川さんの案内で112センチ、17、2キロ(8ポンドライン・約2号)を釣りました。これは世界記録とまではいきませんが、JGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)公認の日本記録になりました。

 埼玉県では昨年まで5月20日から7月19日まで県条例でソウギョは禁漁になっていましたが、今年からそれが解除になりました。行かない理由がありません。

 6月末、市川さんとともに「坂東太郎」のあだ名を持つ利根川に行きました。日本一流域面積が広い川で元荒川のソウギョはここから遡上(そじょう)して来るのでそれを先に迎え打とうという作戦です。

現地に着くと川幅は広く、大物の気配が漂っていました。

 餌は現地調達で葦(あし)の葉。午前5時に全仕掛けを投入し終わり、待つこと1時間余。6時を過ぎたころ、最初の当たりがありました。ソウギョが葉をかみ始めたコツコツという前触れから、ギューンとロッドが入りました。

 すかさずファイトに移りましたが、そのリールを見てびっくり。大物に安心なスピーディではなくチームダイワでした。バス用リールで戦えるか?という不安もありましたが、ラインは8ポンド。ドラグ負荷は緩いのでなんとかなるでしょうと気にしないことにしました。

 いつもの場所とは違い水深があるからなのか、なかなか姿を現しません。もしかしたらレンギョのファールフックかもしれないということも脳裏を横切りました。しかしリール巻いてはドラグを出されを繰り返し、それがかなりの大物であることを確証しました。

 5分ぐらいの攻防で水面に姿を現したのはソウギョでした。安心しました。弱らないうちにすくってしまうとネットの中で大暴れし、ウロコがはがれやすくなります。足場が低いところまで誘導し、市川さんが差し出した巨大玉網に納まるまでさらに3分ぐらいかけました。

 岸にあげて測ってみると、105センチ、12キロでした。水に戻し、ボガグリップ(本家)を使い元気になるまで支えます。魚はまもなく泳ぎ去って行きました。ボガグリップはフィッシュグリップとも呼ばれコピーの格安品がたくさん売っていますが、大物に使うと曲がって魚が落ちるので本家を使うことをお勧めします。

 今日はすぐにヒットしたので期待感十分に釣りを続けましたが、その2時間後に1回当たりを逃したのみで、さらに5時間待ちましたが何も起こりませんでした。

 いつかこの大河で市川さんが釣ったような大物ソウギョと出合ってみたいものです。

(東京海洋大学客員教授)

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