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「ナギサ」にひと目ぼれ!?50センチ超 黄金ブラウン 中禅寺湖

[ 2021年6月27日 06:15 ]

黄金色に輝く50センチオーバーのゴールデンブラウン
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】栃木県の中禅寺湖には、レイクトラウトがいます。この魚は湖型のイワナの一種で日本ではここにしかいない魚です。

 1973年(昭48)に約6200匹が放流されてから釣れ始め、その希少価値ゆえに人気がありましたが、80年代頃はなかなか釣れない幻の魚とも言われていました。

 それが2011年以降、キャッチ&リリースルールになったためか、繁殖がうまくいき、今では平均サイズ50~60センチの魚がよく釣れています。

 レイクトラウトと並んで人気があるのはブラウントラウトです。日本に移入された時期は定かではありませんが、1902年ごろのカワマスの移入に交じって放流されたのが最初だと言われています。ここの魚は「中禅寺ブラウン」というブランド名をつけても良いほど美しく、全身は茶色であるにもかかわらず、体側は金色に輝くゴールデンブラウンと呼ぶべき美しさです。

 レイクと並んでスーパースターであるがゆえに、これを専門で狙っている人も多いですが、餌釣り禁止とリリースルールが功を奏して魚影も濃いのが特長です。しかしそれゆえに賢くなり、いても釣れない。ワカサギを追ってボイルしているのにルアーやフライにはなかなかヒットしないというのが現状です。

 そこで考えたのが、誰も使っていなさそうなルアーで狙ってみるということです。ルアーは偽物であるがゆえに、同じようなルアーが泳いでいても一度釣られた魚は賢くなって食いつきません。解禁から延べ何万回とルアーを見ている彼らを食いつかせるためには、彼らが知らないルアーを使う方がいいと考えました。
 梅雨空の中、民宿おかじんでエンジンボートを借り(小型船舶免許必要)、これにエレキモーターをつけ友人と共に出港。朝マズメは桟橋の前でレイクトラウト45~60センチをフライで6匹釣りました。

 そして明るくなって雨がやんだ午前9時、ブラウン狙いに山側へ移動しました。ルアーはジャッカルの「ナギサ」です。このルアーには昨年の芦ノ湖で7月にバス狙いしているときにニジマスがヒットし、すでにマスに対する実績があります。

 ブラウンは岸からちょっと離れた浅場で獲物を待ち伏せしていますから、ブラックバスのように岸と平行にボートを進め、岸に向かって、あるいは岸と平行にキャストを繰り返します。

 風が吹いて水面が波立っている時、ルアーが着水してちょっとリールを巻いたら、ルアーの下でギラッと光りました。「おや?」と思い、そのままリールを巻き続けるとドバッと水しぶきが上がり、ロッドがグーンと重くなりました。すかさずロッドを立てると、そのまま重みはなくなりました。

 合わせ切れです。やってしまいました。PEラインとリーダーの継ぎ目から切れていました。「あちゃー」と悔しがっても後の祭り、希少品で2個しか持っていない「ナギサ」が1個なくなってしまいました。

 魚は出る、そう確信し、気持ちを前向きにキャスト継続。それから20回ぐらい投げたでしょうか?着水して巻き始めると同時に茶色い魚体がビューンと浮いてきて口を開け、水面に飛び出すように食いついてきました。

 「出た!食った!」。ロッドが重くなると同時にジャンプ。それは黄金色に輝くブラウンでした。

 それまでフライを投げていた友人がネットですくってくれて、ガッツポーズ。船が風で吹き寄せられるのでそのまま岸へ上がって写真を撮りました。それは過去に釣ったブラウンの中でベスト3に入るほどの美しいゴールデンブラウン。見事な50センチオーバーでした。(東京海洋大学客員教授)

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