“江戸前”マコガレイ 令和で復活を 東京湾に4年前から稚魚放流

[ 2021年5月27日 07:08 ]

組合員の手でマコガレイの稚魚を放流          
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 【釣り人掲示板】

 “江戸前”東京湾は豊穣の海。棲息する魚種は700種類とも。釣り物も多彩だ。東京湾を“職場”とする釣り船や屋形船業者を束ねるのが東京湾遊漁船業協同組合。放流事業やコロナ下の取り組みについて理事長の飯島正宏さん(69)に話を聞いた。(笠原 然朗)

 “主役交代”はスポーツ界や芸能界のみならず釣り船の世界でも。

 現在、東京湾の遊漁船で釣れる釣り物の主役は通年、好調を持続しているマアジやタチウオ。最近ではマダコが“準主役”に加わった。

 だが、かつて“江戸前”の釣りの代表格といえばマコガレイとハゼだった。

 「カレイは冬場の人気魚種として羽田沖の水深7~15メートルで頭で50~60匹釣れた時がありました」と飯島さんは話す。

 現在でも釣れないわけではない。同組合では毎年、「江戸前カレイ釣り大会」を開催。20年2月には11軒の釣り宿から出船した15隻に269人が乗り込んだ。優勝魚は大型の44・5センチだったが、数は頭で5匹。往事に及ばない。

 東京湾のマコガレイは1979年(昭54)ごろから釣れ始め、人気魚種として不動の横綱の地位を保ったが、平成に入って一気に下火に。魚の絶対数が少なくなったのだ。

 減少の原因について、「湾奥の埋め立てが進み、羽田空港の新滑走路の開発もあった。これという原因は不明です」

 かつて多摩川河口から江戸川河口周辺の東京湾奥には「羽田洲」「三枚洲」などの浅瀬が広がっていた。魚にとって産卵場であり、稚魚を育む“ゆりかご”、成魚にとっては森の役割を果たしていた。「天然の養殖場」と言われたゆえんだ。だが、開発で浅瀬の90%が失われた。

 「庭付き一軒家が建ち並んでいた場所に高層ビルが建った。住人が変わったようなものです」と飯島さんは釣り対象魚の“主役交代”について、例えを交えながら説明した。

 同組合では黒メバル、カサゴに続いて3年前からマコガレイの稚魚放流を始めた。

 3回目の昨年7月は、山口県下松市産の3~5センチの稚魚1万匹を放流した。輸送費を含めて1匹100円。ヒラメの餌となる生きイワシに匹敵する値段だ。

 「カレイは成長が遅い。植林と同じで、釣果となって結果が出るのはずいぶん先のことになるでしょう」

 大田区大森の釣り宿「まる八」の3代目。跡を継いだのは1977年(昭52)。半世紀近くにわたって変わり続ける“江戸前”を見続けてきた。

 同組合の理事長を務めて20年。「東京湾は私たちの職場。職場を育て、守る努力は必要です」と飯島さんは未来を見据えている。

 ◯…コロナ禍で到来したアウトドアブーム。キャンプなど屋外で“密”を避けて楽しめるレジャーに人気が集まっている。釣り船も同様。昨夏あたりから集客は上向いている。「親子や家族連れなどビギナーが増えていますね」と飯島さん。釣り宿も受け付け時の検温、手指の消毒、スタッフのマスク着用、乗船人数の制限などで感染を予防してコロナ禍に臨む。「ビギナーには釣りを楽しんでもらうのと同時に安全なルールを教えていきたいと思います。今はマンネリを脱して新しいことにチャレンジするチャンスです」と飯島さんは話していた。

 ▽東京湾遊漁船業協同組合 1974年(昭49)設立。深川・吉野屋、葛西橋・第二泉水、浦安・吉久、南六郷・ミナミ、川崎・中山丸などが19軒が所属。組合員数は42人。

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