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小さいほど“大物”価値あるタナゴ2・5センチ 特製の極小バリ

[ 2021年5月16日 06:19 ]

筆者の最小魚は2・5センチ
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】今頃のシーズンは私のソウギョマスター・市川満さんと、日本記録を超える世界記録級のソウギョ釣りに没頭しているのですが、それができません。日本記録を公式に認定しているジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)が、緊急事態宣言が出ている期間に釣った魚に関しては記録申請を受け付けないとしているからです。

 そこで市川さんが毎年、ソウギョの禁漁期間中に楽しんでいるタナゴ釣りに同行させてもらいました。

 市川さんはタナゴ専門、私は釣れる小物はなんでも歓迎です。いま国内で天然の国産タナゴは激減し、タイリクバラタナゴが釣りの主流になっていますが、このタイバラでさえ、観賞魚として珍重されるので、プロの捕獲者が各地で暗躍しています。そのため場所の公開は微妙です。○○公園の池とかなら公開できますが、今回は利根川水系の水路とさせてください。

 竿は1~1・5メートルで市川さんが制作した小型唐辛子ウキ&シモリ仕掛けにハリはタナゴバリ。市販品のがまかつ「極タナゴ」を用意しましたが、市川さんが手研ぎしたものをお借りしました。ハリスは極細のテトロン。ナイロンハリスは吸い込みが悪いそうです。

 道具はなんでもいいよと言ってましたが、仕掛け箱や生かし箱、竿など、日本人特有の工芸品になりそうで、高級品を求めて上を見たらキリがなさそうです。

 餌はマルキユー「グルテン5」。タナゴばかりで餌取りがいない場所ならタナゴグルテンもいいそうです。

 水量を合わせて、かき混ぜ、グルテンがなじんだら釣り開始です。極小のタナゴバリでこれを引っかき、ハリ先にちょっとついただけの状態で振り込みます。当然、着水と同時に落ちてしまうことも多々あります。これを繰り返して魚を寄せて釣るのだと教えてもらいました。

 水深は50センチぐらい。そこから5センチほど切って釣りをします。ほどなくしてウキに当たりが出始めますが、掛かりません。
 魚の口が小さいのでハリまで吸い込んでくれないのです。最初に釣れたのはモツゴ(クチボソ)の超小型でした。約4センチ。普通の袖バリなどでやっていたら絶対にハリ掛かりしないサイズです。

 そしてタイバラが掛かりました。タナゴは10年ぶりぐらいだったのでしばし見ほれてしまいましたが、「どんどん釣って」と市川さんがせかすものだから、観察する間もなく次を狙いました。
 何匹か釣るうちに気がつきましたが、コイやフナの超小型なら、当たりが出たらまず簡単に掛かることです。やはり口が大きいのでハリを吸い込むのでしょう。

 なかなか掛からないのはモツゴやタナゴです。空振りを何度も何度も繰り返し、そのうちの何匹かが、ハリ掛かりするわけです。そのうち本日最小と思われるタナゴが釣れたので、撮影しました。これが2・5センチでした。

タナゴ釣りのマニアはより小さな魚を釣ることに燃えているそうで、1円玉よりも小さい魚が「価値あるタナゴ」だそうです。1円玉の直径は2センチですからそれに少し近づきました。

 時にタナゴバリでは口切れしてしまう良型のフナもヒットし、小物釣りを十分に楽しめました。他魚はコイ、タモロコ、モツゴ、ギンブナ、キンブナ、ヘラブナなど7目の小物を釣り、驚くべきことに市川さんはメダカまで釣ってしまいました。この日、半日で私はタナゴ15匹、市川さんはその倍の30匹釣りました。他の小魚は数え切れずです。(東京海洋大学客員教授)

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