受け継がれるフグの道 先人がつくった食文化 釣法も同じ

[ 2021年3月30日 07:15 ]

“タイム釣り”で19匹。竿頭の平手さん
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 【釣り日和】茨城県大洗沖のショウサイフグを狙い、弘清丸に乗り込んだ。春の海はきまぐれ。好釣果続きも、釣行当日は様子が一変。それでも釣る人がいるんだなあ。(笠原 然朗)

 その昔、無名の冒険者がいた。人類で最初にフグを食べた人だ。彼(彼女)の後には毒に当たった無数の“殉教者”たちが続く。食いしん坊たちが命懸けでつないだのがフグ食の文化である。
 大洗沖の水深30メートル。カットウ仕掛けでオモリは30号。餌のアオヤギに寄ってきた悪食のフグを引っ掛けて釣る。海はナギ。当たりは取りやすい。

 隣席、左舷大ドモで竿を出していた佐野市の平手貴幸さん(59=会社員)は、30メートル以上遠投してポイントを広く探る釣法。シュー!という飛翔音の後、誘いを掛けて早速の1匹。

 前回の鹿嶋沖では、仕掛けを底に置いて当たりを待つ釣法でごう沈。だから平手さんをまねて投げる。両軸リールでは15メートルが精いっぱいだが。ようやく1匹目が釣れたのは2時間後だった。

 午前10時。「眠っていたら当たりが来ました」と良型を上げたのは桐生市の山口直也さん(30=建築業)。それから目覚めたのか納竿まで5匹を追加した。

 食い渋りは「強い南風の影響で海がかくはんされ底潮が濁ったため」と小沼満船長。結論から書くとオデコも出た中、私の釣果は3匹。平手さんは19匹。この差は何か。

 キーワードは「タイム釣り」。平手流は(1)遠投(2)仕掛けを底に着けたまま3~5秒間、置いておく(3)空合わせを入れる。仕掛けが船下まで来たら巻き上げ(1)~(3)を繰り返す。

 「カワハギ釣りもするので“タイム釣り”に叩きや落とし込みの誘いを加えました」

 空合わせが誘いにもなるハイブリッド釣法に食い渋り時のフグ攻略が有効だったようだ。

 フグを安全においしく食べられるのは先人たちのグルメの道があってこそなら、その釣法も同じ。人間がつくり上げた一つの“作品”である。

 ◯…「前回、隣の人が投げて20匹。私は6匹しか釣れなかったので…」と今回スピニングリールで臨んだのは大田区の萩原利比古さん(74=建築業)。「遠投できるし、ドラグを閉めれば巻き上げも問題はない」と7匹に外道のホウボウも加えた。40歳から20年間、トライアスロンを続けていたというアスリート。沖縄・宮古島大会にも参加。スイム3キロ、バイク150キロ、ラン42・195キロを完走したという。「体が丈夫なので、なかなか仕事を辞めさせてくれませんが、10月に退職するつもり。記念にホノルルマラソンを走ろうかと思っています」。元気な挑戦者だ。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、大洗・弘清丸=(電)029(267)3420。出船は午前5時。乗合料金1万円。

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