進化し続けるルアー 魚との知恵比べ

[ 2021年2月2日 07:13 ]

ロッドワークで小魚になったトリコロールミノー5・4センチで釣れたイワナ。多摩川上流で
Photo By スポニチ

【奥山文弥の釣遊録】
 ルアーの定義は「金属や、樹脂、木などを使って小動物を食べる魚を釣るために作られたもの」としておきます。

 ルアーの中には優秀なものもあり、投げてリールを巻いて引いているだけでよく泳ぎ、釣れてしまうものもあります。おそらくビギナーズラックということが最も起こりやすい釣りであるとも言えます。私が初めて釣った芦ノ湖のブラックバスは40センチ。その魚は「スピードシャッド」というルアーの棒引きで釣れました。当時は棒引きしか頭にありませんでしたから。

 ただ巻くだけでは活躍してくれないルアーもあります。そういうルアーに命を吹き込み、魚に食いつかせるのは私たちの技術です。リールの巻き方、ロッドの動かし方によって、いきなりそれが餌になります。いま多摩川上流でヤマメやイワナに大活躍の「トリコロールミノー」はロッドを小刻みに動かすトゥイッチという技術でおいしそうな小魚に変身します。

 ここで初心者の方にアドバイスです。ルアーは食欲旺盛な魚がおなかをすかせている時、あるいは攻撃対象になっていて、なおかつその射程圏に届けなければ釣れませんが、時に簡単に魚を引き寄せてくれます。捕食スイッチが入ると勝手に掛かってくることもあります。東京湾のシーバスなどはその典型です。何もしないで沈んでいくルアーに食いつくのですから。

 同じ場所で同じ釣り方をしても、釣れる時と釣れない時があるからです。そこから釣りの科学が始まるのです。

 欧米発祥のルアーはその昔、国産品は少なく、輸入品に頼っていましたが、今では逆に日本製が市場を埋め尽くしています。しかも対象魚別に細分化され星の数ほど種類があります。

 それらを見て「こんなルアーがあるのか?」と目を輝かせ、ワクワクしながらそれに見入ることもあります。我が家にもおそらく何千個というルアーがあり、何度も断捨離したほどですが、それでもこの年になってまだトキメキます。それは新しい研究心、探究心、そして「これで釣ってみたい」という気持ちからなのです。

 これまでに経験したことがあるのですが、いつも同じルアーで釣り続けていると飽きてしまいます。ぜいたくですがだから新しい何かが欲しくなるわけです。人によってはその逆で、「釣れる」と言われたルアーも数多く試してみたけどいまだ確証がつかめていないから次々欲しくなるといったケース。また釣るためではなく、コレクションとして持っていたいという願望もあるのです。たくさん買ってしまう人は実は物欲でルアーに釣られてしまっているのです。この現象は餌釣りにはないことです。

 世界に名だたるルアーメーカー、ジャッカルのデザイナー佐々木平磨さんが教えてくれました。「もうすでに研究し尽くされたと思われるブラックバス釣りでも、魚の習性や捕食スイッチに関して新しいことが次々に分かるので、新しいルアーがどんどん作れるんです」と。魚も偽物を見破るようになるので、それまでのルアーでは掛からなかった魚が、新しいルアーで釣れるのだそうです。

 彼が開発したタチウオ形のロングブレードのルアーは、全長35センチもあり、ブリの仲間がタチウオの幼魚を食べることを知って作ったユニークなものです。これで同じサイズのイナダも釣れたそうですから驚きです。今年はこれで釣ってみたいと目標もできました。
(東京海洋大学客員教授)

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る