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“神秘の谷”からユメザメがお目覚め 見た目に反して「おいしい」

[ 2020年9月8日 07:17 ]

谷口さんが釣り上げたユメザメ                              
Photo By スポニチ

 【釣り日和】未知の海底から怪魚を釣り上げる――神奈川県小網代・丸十丸の深海“調査”船に乗り込んだ。26日にはマルキユーカップ2020スポニチ「東京海底谷深海魚釣り大会」が開催される。釣り上がったのは…。(笠原 然朗)

 「東京」と名が付く秘境がある。それが「東京海底谷」だ。東京湾口付近から延び、長さは約40キロ。最大水深は1000メートルにも及ぶ。古代よりその姿を変えていない希少種のサメ「ラブカ」や「ミツクリザメ」も棲息している神秘の谷だ。

 丸十丸・小菅裕二船長が最初に船を向けたのは400メートルダチ。トモから順番に6人の釣り人から250号のオモリが投入された。ハリスは20号。餌はサバとイカの切り身が基本となる。

 最初に竿を曲げたのは大和市の勝野孝広さん(51=自営業)。海面にグロテスクな姿を現したのはトウジンとオキギス。「深海魚は全般的に食べておいしいです」と食べる気満々だ。

 このポイントではほかにオキアナゴ、ドンコを追加してさらに深い500メートルダチに移動した。

 秋風がギンヤンマを運んできた。穏やかな海だが、操舵(そうだ)室にあるモニターに刻々と映し出される海底の様子は、この下に長大な渓谷があることを物語る。

 右舷トモに陣取った練馬区の谷口拓一さん(54=塗装業)の竿先がお辞儀を始めた。ゆっくりと上がってきたのはユメザメ。まぶたを持ち、目を閉じている様子がまるで夢を見ているようだ、と名付けられたらしい。魚体に触るとざらざらのサメ肌だった。

 「深海釣りはのんびり構えていられるからいい」と谷口さんは後にモミジザメも釣果に加えた。

 左舷トモで竿を出していたのが横浜市の西野勇馬さん(22=大学生)。北里大海洋生命科学部の4年生でIGFA(国際ゲームフィッシュ協会)認定の世界記録を43個保持。“深海魚ハンター”として売り出し中でYouTubeに活動記録を上げている。

 餌は最初からサメ狙いのスルメイカ1匹付け。手巻きリールで面目躍如のフトツノザメを釣り上げた。

 西野さんによるとこの日船中で上がった最も珍しい魚は、勝野さんが納竿1時間前を釣ったテナガダラ。大会では何が上がるのか?楽しみだ。

 ◯…深海に手巻きリールで挑んだのは千代田区の冨士木耶奈さん。第6代アングラーズアイドルで年間300日以上釣行する、というつわものである。深海釣りは2回目で今回は「サメ狙い」。YouTube用に撮影しながら、サメの当たりを捉えたが巻き上げる途中でバラシ。釣果はトウジン1匹だったが「次回は…」と夢の続きは次回に。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、小網代・丸十丸=(電)046(881)0100。深海“調査”船の出船日などは要問い合わせ。

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