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クロムツ脂乗り超美味

[ 2020年7月21日 07:05 ]

鋭い歯と大きな目玉  
Photo By スポニチ

【一釣一品食べま専科】クロムツの刺し身を食す。超美味。最近ノドグロと称してアカムツがムツ属の代表と思われているのがしゃくでね。そこでクロムツの逆襲、江見・新栄丸の五目船に乗り込んだ。 (スポニチAPC・町田 孟)

 ムツのご本家こそクロムツなんだ。“系図”をたどると「スズキ目スズキ亜目ムツ科ムツ属」。本ムツも系統だ。味は少々落ちる。

 片やアカムツは「スズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科アカムツ属」。つまりムツじゃあない。しかも通り名みたいになっている「ノドグロ」はクロムツでも使われている。何やら乗っ取りに近いやね。

 かつて一世を風靡(ふうび)した妖艶な女優さん。思い出せばいっぱいいるよね。年を重ねて色気も練れてきて。ゾクゾク感を与えてくれるじゃない?それがクロ。

 最近続けざま主演を勝ち取っている状態なのがアカ。お色気むんむん拡散中。勢いはとどまるところを知らない。ブイブイ状態ってとこか。“滴る”と“湧き出てる”の違いかな。どちらも脂の乗りはいい。うまみもある。なのに二言目にはアカいノドグロ。何もアカ勝てクロ勝てって言うんじゃないけど、忘れられそうなノドグロを知ってほしいんだ。

 「暁の出撃」だ。午前3時河岸払い。30分ほど走ってクロムツポイントに到着する。仕掛けはセンターサルカン付きフラッシャーサビキ。全長7メートル、幹8号で枝6号。オモリは120号を背負う。

 武ノ内一浩船長の持論は「釣りはスポーツ」。船べり全体にマグネットシートが貼ってある。「長ハリスを広~く使って素早く移動しながら取り込んで」。確かに運動量は多いや。水深は100メートル前後。指示されたタナまで底から丁寧に探ればガツガツ。心躍るのよ。暗いうちが勝負時だ。サバの猛攻と戦いつつ、走り回るんだからスタミナも腕のうちかもしれん。何とか3匹。朝焼けとともにアジの釣り場へ。次いでイサキ狙いと、息つく暇もない。独特のカラー4本バリ(5本もある)の下にオキアミをつけて大型狙い。トモで40センチがダブルで。最終章は根魚だ。サバを短冊に。ミヨシでは巨大カサゴを皮切りに次々と良型を仕留めていく。僕は根掛かり連発でギブアップ。まっ、本命確保で余裕こいてるふうを装ったけど…。

 単純明快。皮を引いて炙(あぶ)って。よだれが出ちまう。家人うめく。「うおっ!とろっとろ。でも姿はグロムツじゃん」。なんということを。ムッときたぜ。

○…江見港一帯は豊穣(ほうじょう)の海。武ノ内船長はリアリストだ。「イサキ50より五目で50」。同じ魚を目いっぱい釣るよりは、いいものを適量ずつの方が満足度は高いともいえる。それもこれも海に恵まれているからだろう。日並みさえよければハタ、ヒラメも姿を見せるほど潜在能力を秘めている。「もっと早い時期ならクロムツも15や20は出たんだけど。数は少なくなっているけれどまだまだやれそう」。ラストチャンスに懸ける価値はある。

▼釣況 東日本釣宿連合会所属、江見・新栄丸=(電)04(7096)0268。乗合料金1万500円(コマセ、氷付き)。

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