コイ焦がれた阿武隈川 本命には出合えず…52センチニゴイ

[ 2020年5月17日 07:19 ]

52センチのニゴイが釣れた
Photo By スポニチ

 【東北の釣り】完全休止の川に復活の兆しが見えてきた!東日本大震災による震災原発事故から10年目となる福島県阿武隈川本流・支流で試験採捕が開始された。(スポニチAPC・菅野 順也)

 阿武隈川漁業協同組合員である私にも1通の封書が届いた。

 原発事故以来休止となっていた漁業権漁場での「試験採捕」が行われることになった知らせとともに、許可書が同封されていた。

 福島第1原発からの放射能漏れは、県の内陸部にまでいまだ大きな爪痕を残している。 県内を南北に流れる阿武隈川では全魚種の漁業・遊漁が9年間完全な休止となっていた。これは「原子力対策本部長である総理大臣から福島県知事宛てへの指示」「福島県農林水産部長より阿武隈川漁業協同組合長宛ての通知」により出荷の差し控え、採捕の自粛が指示・通知されていたためであった。

 内水面は海の漁業に比べ、このような内容があまり周知されていないのが実状だ。

 ようやく一筋の光が差し込んだ本年は、組合員と組合員以外が試験採捕をすることが可能になった。

 福島県に3店舗を構える岸波釣具店・北福島店の安藤孟店長によれば、「ようやく試験採捕という形で、申し込みをすれば一部の魚種が指定の場所で釣りをすることができるようになりました。従来の組合員のほかにも“試験採捕体験組合員”という形で、福島県内外問わず一般の方でも申し込みができます。リリース前提で採捕した情報は報告する義務など必要事項も発生しますが、全面解禁に向けて大きな一歩を踏み出したと言えます。早期に元通り釣りが楽しめる環境に戻ることを願っております」とのこと。

 コイを狙って9年ぶりの川釣りへ出掛けた。震災前は阿武隈川水系でよく釣りをしていた。支流のイワナやヤマメ、本流ではコイやフナを狙っていた。再び地元のこの川で竿が出せる万感の思いで向かったのは、福島市北部の阿武隈川本流。時の経過とともに景観が変わり、通い慣れていたはずの河川敷までの道に迷いながら、ポイントへ到着。水深があり流れが緩やかで、大物が潜む穴場のよどみが多数点在している。吸い込み仕掛けを投入してしばらく待ち、打ち返しを繰り返した。大きな河川ほど雪解け水に影響されるので、まだ早いかと諦めかけていた時に鈴の音が鳴った。なかなか強い引きを見せて上がってきたのは52センチのニゴイ。本命のコイと出合い、10年越しの恋を実らせることはできなかったが、親しみ慣れた川での久しい感触に感慨無量だった。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る