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ウイルス持ち込み心配 危険に気付いて我慢を コロナの余波で分かれる“自粛”派と“お出かけ”派

[ 2020年4月25日 07:36 ]

3月1日の多摩川解禁日に。漁協は「釣りに来ないで」と追加放流もストップしている
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】コロナウイルスはますます猛威を振るってますね。緊急事態宣言が最初の7都府県(7日)に出されて2週間余、全国(16日)に出されてから10日が過ぎようとしていますが、いまだ先が見えません。

 「外出するな」「人と接触するな」「もらうな」「うつすな」と言いつつも、公園や娯楽施設には人が集まり、スーパーマーケットにも普段以上の人出があります。

 そんな中で釣りも自粛した方がいいという考え方もあり、これがSNSを中心に論議されています。こんな時だから我慢すべきだという自粛派と、1人で行けばいいじゃないかというお出かけ派に分かれています。

 また釣りに行くにしても県境を越えず地元で釣りをするんだからいいのだと持論を展開する方もいます。

 私の地元、東京都の「奥多摩フィッシングセンター」や「秋川国際マス釣場」は、緊急事態宣言を受け、5月中旬までお休みになりました。営業しているとお客さんが来てしまい、その方々が原因でウイルスが地元に持ち込まれては困るという英断です。

 そのような動きを見て「やはり釣りには行かない方がいい」と我慢している方もたくさんいます。釣りに行って感染するのではなく、もしかして釣り人が感染していたら拡散することになるからです。

 一方で「自粛すると観光地でもある釣り場の地元の人が経済的に困るから、こういう時こそ釣りに行って現地にお金を落とし、応援しよう」と言う人もいます。もっともなように聞こえますが、これは単なる釣りに行きたいために、へ理屈を述べているだけなのです。
 特に渓流釣りの方は要注意です。コロナのコの字もない田舎へ都市部からウイルスを持っていく恐れがあるからです。

 「車で1人で行く。誰にも接触しないから」と言う人、大丈夫なのかしら。ドアノブや、自動販売機のボタンでも感染するんですよ。

 私も「大丈夫だろう」と思っていた時期がありましたが、やはり危険だと気がついてから我慢しています。例えば栃木県日光・中禅寺湖。解禁日には「まだいいかな」と行ってしまいました。その後はやめています。私が知らぬうちに無症状感染者になった場合、湖畔に住むお世話になっている方々に、いい付き合いをしている方々にうつしてしまう恐れがあるからです。漁協が魅力的なイベントを5月にやると発表しましたが、すぐに英断で中止になりました。

 今市市の友人は「中止になってよかったね」と言いました。中禅寺湖が特別解禁すると発表した時、「何で?」と思ったそうです。

 湖畔でお土産店を営む私の中禅寺湖の師匠・岩崎一志さんは元漁協の理事です。電話で話をしたら、コロナウイルスの持ち込みが心配で「ゴールデンウイーク明けまで店を閉めようかな」とも言っていました。地元民は必ずしもこの事態の中でお客さんを歓迎しているわけではないのです。

 SNSでは釣り道具自慢や過去の釣果の自慢サイトが盛り上がっています。

 最初は釣りに行くことこそ、いい空気を吸って、日光を浴び、健康管理にぴったりの方法かと思っていましたが、人との接触が一番の感染源なので我慢も必要です。(東京海洋大学客員教授)

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