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母強し マコ45・5センチV

[ 2020年2月25日 07:34 ]

45・5センチの優勝マコガレイを掲げる鈴木さん
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほり おじゃま虫ま~す】このほど開催された真冬の恒例行事「江戸前釣り大会カレイ釣り2020冬」におじゃま虫ました。東京湾内の水温が高く食い渋りの中、ミナミ2号船(安達任伯船長)で上がった45・5センチが大会を制した。(スポニチAPC 町田 孟)

 船着き場にゴロゴロとカートを引き、手には竿2本。それと分かる服装で一人悠然と現れた女史。クジで左舷ミヨシに。

 鈴木浩子さんは北区から電車で参加してきた。年齢は「勘弁を」。ご主人と息子さんの3人暮らし。「食品関係のパート」をしている兼業主婦だ。釣り歴わずか3年。きっかけは「夫がおかっぱりのハゼに連れて行ってくれた」。ところが共に不調。隣にいた名人と称される人がひょいひょいと上げるのを見せつけられた。「もう悔しくて。研究しました」。負けず嫌いはやがて船にシフト。「ホント、東京湾の魚がこんなにおいしいって初めて知りました」。

 兵庫県出身。子供の頃「父が釣り好きで」瀬戸内海の幸で育った舌を満足させたのも、のめり込みの一因だろう。 

 カレイを狙うのは2回目。「昨年30センチくらいのを1匹。息子に刺し身で食べさせたらおいしいって。お代わりをせがまれたほど」いかんせん小さ過ぎた。埋め合わせ、とはいうものの、難しい釣りだ。玉砕覚悟の感は否めない。すると「大会は抽選があるし賞品がいい」。主婦が顔を出す。

 さて本番。ところがピクリとも来ない。船中でもまだ1匹。「夜なべして仕掛けを自作したのに」。うつらうつらが始まる。我に返って竿を握っても音沙汰なし。「カップラーメンをこんなにゆっくり食べられるなんて初めてですよ」。時間ばかりが過ぎていく。「抽選が残っているから」。自嘲気味にすらなっていった。

 納竿の午後2時まであと43分。小突いた後、竿先がかすかに震えた。身構える。異変に安達任伯船長が飛んできてコーチング。のみ込ませるまで1分強。そーっと聞いてみる。と今度は竿がググっと持ち込まれた。勝負時だ。大きく合わせる。激しい抵抗に思わず“大きい”を通り越した叫び声。「デカイ!」。起死回生の一撃。そう、20年マコガレイ覇者は鈴木さんだった。さらにミナミの優勝者輩出船55にも貢献した。

 興奮が収まった後、驚きの言葉が。「昨年10月のタチウオ大会(グローブライド主催)でミナミさんに乗って118センチで3位。11月には女性だけのカワハギ大会で優勝してるんです」

 抽選に頼らなくても賞品が山のようだ。それにもまして息子さんにたっぷり食べさせられるザブトン級のお土産がある。母は強し。

 〇…ミナミデーだった。トップ賞も1号船(安達祥一船長)。常連の筒井政和さん(64=板橋区)2匹だったが合計重量800グラムで制した。キャリアは8年。フリーの身をおう歌中。「ゴルフと半々くらい。いや最近は釣りかな。魚屋では買えないし、こんな楽しいことはない」。さて、海の腕前はハンデアップした?

◎大会成績(参加222人)

 ▼総合 (1)鈴木浩子(2)斎藤久美子(3)平野天翔(4)三井康広(5)秋田剛

 ▼トップ賞 筒井政和

 ▼レディース賞 宇田川直美

 ▼ジュニア賞 橘内洸介

 ※参加船宿 中山丸、ミナミ2隻、吉野屋、第二泉水、吉久ほか東京湾遊漁船業協同組合所属9隻

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