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恵みの雪 ニジマス40センチ

[ 2020年2月1日 07:07 ]

貴重な経験でした。 (左から)筆者、小田さん、中村さん、福井さん
Photo By スポニチ

【奥山文弥の釣遊録】多摩川の最上流、小菅川にやってきました。冬季でもニジマス釣りができるキャッチ&リリース区間(C&Rエリア)が多摩川水系にはここしかないからです。フライフィッシングのセミナーを行い、3人を案内しての釣行でした。

 前回は午前中の雨がやみ、日が差して、ユスリカが羽化したため極小のドライフライで釣ることができました。今回もそれを期待していたのですが当日は雪が降りました。

 釣り3回目というビギナーの小田勲さんは、初めてのフライフィッシング。

 それでも序盤からいきなりウエットフライで連続ヒット。初心者ですから食いついたのが分からずに合わせを入れなかったり、掛かっても外れてしまうこともあり、最終的にキャッチは9匹。私が見ている限り、ヒットは20回以上ありましたね。初めてのフライでこれだけ釣れることはまずはあり得ません。「寒さで心が折れた」と言いつつ、熱中していました。

 還暦を過ぎ、釣り歴は長いけど、フライの野釣りは初めてという福井裕さんは最初苦戦しましたが、コツをつかむと好調にバラしつつも11匹。「雪の中での釣りはこの年になって初めてでしたが刺激的でした」

 釣りならフライをと、最初からフライを始めて3年目の中村なぎささんはたくさんバラしながら12匹。

 私は皆さんのロッドを借りて釣り方を説明しながら5匹。つまり4人で37匹釣ったわけです。ヒットは恐らくその倍以上でした。みんなが「寒い、寒い」と言いながらもやめませんでした。驚くべきことに、私が釣った40センチのニジマスは、約2時間後に福井さんにまたヒットしました。

 なぜこのようなことが起こるか?原因は雪だったからこそなのです。晴れれば放射冷却で夜中から朝の気温は氷点下以下にグーンと下がったでしょう。当然水温も下がります。しかしこの日の水温は6、7度。ユスリカの羽化が雪の中で始まったのです。

 ですからニジマスたちは食欲満点でした。その上、いつもは混み合うその激戦区が貸し切りでした。それで遠慮なく数釣りができたのだと思います。魚が賢くなっているC&Rエリアでも天気などの条件によって、荒食いする日があるのだということです。

 人生と同じく、いつもいい(人が楽な)条件で釣りができるとは限りません。雪だからと中止したら釣れていません。雪の中、出掛けてよかったです。参加者同士の絆も深まったと思います。そんな貴重な体験をした一日でした。(東京海洋大学客員教授)

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