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カワハギの皮はがない!?簡単ナメロウ 決め手の肝とトロトロになるまで叩く

[ 2019年12月1日 07:00 ]

角がなければひょっとこ顔
Photo By スポニチ

 【一釣一品食べま専科】カワハギのナメロウを食す。館山つりセンター花輪雅一船長のイチ推しなんだ。煮付けて、焼いて、肝あえだナベだと味わい尽くした末にたどり着いた一品ともいえるね。(スポニチAPC・町田 孟)

 これは応援専科だ。館山は例の台風直撃地区。船から海岸線を眺めるとビニールシートの家々がいまだに点在している。「大工さんが足んねえ」。海から100メートルも離れていない花輪家も被害を受けた。避難はしなかったが、「屋根のカワラを吹っ飛ばされ、壁は飛んできたカワラでひび割れちまった」。何より心配だった船のダメージは大きかった。発電機が塩をかぶってパー。仕事を再開しても、いまだに修理ができていない状況だ。

 難病とも闘い続けている。「オレが38歳の時からだから30年になるかな」。四六時中松葉づえは離せない。ある時は車いすにすがりながら舵(かじ)を握っている。頭髪も薄くなった。この稼業も「51年」。館山湾は知り尽くしている。ただ、ブイブイ言わせていた時代を知る者としてはちょっと寂しい。「この年だし、体と相談しながら仕事してますよ。3日出て1日休むとか」

 支えているのは富美夫人だ。「若い時に結婚してるから、もう50年になりますよ」。昨年はコマセ運びでギックリ腰になった。「年は言わない」姉さん女房。やんちゃ坊主は手のひらで転がされて今があるのかもしれない。

 何よりうれしいのが東日本釣宿連合会への復帰だ。昨年末から休会していた。「1月から3月まで入院する予定だったんで。船も出せないしね」。何重もの苦境に耐えての心意気。リスペクトを込めたカムバック賞だ。

 【釣戦】誰がシケ後の荒食いなんて言ったんだい。口を使わない。シケ後の知らんぷりなんだもの。いつもは「そーら来たぞ、バリバリ食ってんゾ」。口だけは健康で、あおり立てる船長の声も湿りがち。「仕掛けをゆーらゆらさせて吸い込む当たりをキャッチしないと取れねえよお」。当日、唯一の解決策だったかもね。

 【クッキング】身づくろいさせたらニンニク、ネギ(タマネギ)ミソ。決め手の肝と共にトロトロになるまで叩く。簡単でしょ。船長いわく「器に入れて冷蔵庫で1週間くらいは持つよ」。それと面倒な薄皮。皮を剥がず、五枚にしてから引けば悩み解消さ。試してみて。

 ○…木戸口智明さん(48=自営)はわざわざ足立区からの常連さんだ。「千葉方面はゆったりできる。魚種も豊富だし」。ふと見たクーラーには「竿頭」のシールが。「クロムツです。年に6回くらいもらったことも」。遠慮がちな口調とは裏腹な凄腕だ。不調の海に手こずりながらもハタのおまけつきで晩のおかずを確保した。

 ▼釣況 館山つりセンター=(電)0470(27)3807。出船は午前6時。乗合料金は8000円(氷付き)。餌は1100円。

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