美しい魚体とパーマーク 東京に天然ヤマメ

[ 2019年8月31日 07:12 ]

筆者が釣り上げたヤマメ
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】渓流釣りの経験が多くなると、行けば楽しい、渓相に癒やされる、釣れて楽しいという渓流釣りの根本的な喜びとは別の刺激が欲しくなったりします。

 いま行っている調査もその一つ。多摩川水系にヤマメやイワナの固有種の遺伝子を持つ魚が残っているか、という探索です。

 ですからたくさん釣れればOKというわけではなく、この山奥ならとか、まさかこんな場所にというところで魚を釣り、脂ビレを切ってDNAの解析を行うのです。

 通常、DNAの解析には膨大なお金がかかるので、よほど水産価値があるものでしかできないのですが、今回は公益財団法人・東急財団の多摩川における研究への助成金を頂き、北里大学の研究チームが行っています。私は後輩のサポートとして、釣獲調査に加わっています。

 今回の場所は東京都秋川の上流です。秋川漁協の副組合長、小峰和美さんによれば、秋川には元々イワナは棲息していなかったということです。放流した魚、流域にある河川型管理釣り場から逃げ出した魚が成長、繁殖したものだということです。

 今回は小峰さんからも情報を得て、天然ヤマメがいそうな川へ行ってきました。

 現地へ着くと早速、誤算。川が小さいので、フライの方が有利と思ってましたが、真夏の小沢、しかも源流までヤマメがいる川は標高が低いのでクモの巣だらけ。

 これがあるということはあまり人が入っていないという証明ですが、フライが引っ掛かって、ポイントに投げ込もうとしても着水しません。

 そこでやむなく、ルアーにチェンジ。ロッドはシルバークリークX564ULR、リールはセルテート1500ビンテージ(以上ダイワ)。ラインはFCスナイパー1・5ポンド(約0・5号)。ルアーはトリコロールミノーシンキング5センチでした。

 ルアーに変えてからすぐにチェイスがありましたが、引く距離が短いので、ヤマメが追いついてきた頃には瀬尻に来てしまい、なかなかヒットには持ち込めませんでした。引く距離は長くても2メートルぐらいです。この間になんとか掛けなければなりません。キャストもオーバーヘッドで投げられる場所は少なく、ほとんどの場所ではアンダーハンド、振り子のように振って送り込みのように投げるのです。着水する前にベイルを返す準備をして、着水と同時にリーリング、アクション開始です。

 ルアーのいいところは食いつかなくても魚の反応が見えることです。東京の山の中にもこれだけ魚がいるのだということを見てホッとしました。

 途中でスピナーやスプーンも試してみましたが、やはりミノーのトゥイッチングに効果があり、釣りを開始してから30分後には最初のヒットがありました。

 それは秋川や多摩川の下流域で見られる放流魚とは全く違う美しい魚体で、ヤマメ独特のパーマークも形がそろって奇麗でした。ヤマメを5匹キャッチでき、脂ビレを切ってDNAサンプルにしました。

 我が国でヤマメの養殖に初めて成功したのは東京都の水産試験場。それを拡散していきましたから、その遺伝子なのか見た目は同じでも、自然繁殖を続けた結果の遺伝子なのか判定するのが楽しみです。(東京海洋大学客員教授)

 ◆東京海洋大学フィッシングカレッジ 9月2日(月)開催。テーマは「釣りのルールとマナー」。講師は水産庁釣り人専門官の中山洋輔さん。午後6時半から8時まで。品川キャンパス白鷹館1F講義室。予約不要、入場無料。

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