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マダコ 指先に伝わる命の重み 釣りの原点 テンヤ小突いてトントンぐぃっ

[ 2019年7月7日 07:11 ]

タコ踊り?
Photo By スポニチ

 【一釣一品食べま専科】真夏のタコあげ?いや、マダコの唐揚げを食す、ね。今年の東京湾は1人で20匹なんて日もたびたび。で、南六郷・ミナミへ様子うかがいに。ついでに痛い話PART2も。(スポニチAPC・町田 孟)

 照りダコは夏の風物詩。釣りの原点でもあるんだ。なんせ手でテンヤを小突いてタコ待ちするんだから。海底をトントントン。乗った時の感触、ぐいっと引く重み。ダイレクトに指先に伝わってくる。竿では味わえない命の抵抗。ありがたみが増そうというものだ。

 40年以上も前かな。東京湾にタコがわいた。そう、異常発生ね。一束なんてざら。この時はさすがに人さし指が痛くなったねえ。かまれて痛いのは「小指の想(おも)い出」。こちらは人さしの感触ね。ムフフ、変な想像はいかんよ。

 【釣戦】テンヤのオモリは50号。水深は5~10メートル。「カニは両方の爪と片側の足を取っちゃいます。足がついた方はカンナ側に。カニをオモリ側に寄せて縛り付けます」。出船前、安達祥一船長=写真=がミナミ流を講義。シャープな宿特製テンヤもご推薦だ。

 根掛かり防止は時々テンヤを持ち上げてやること。カサゴと同じ基本動作ね。粘るような重みを感じたらスーッと頭上に持ち上げるように合わせる。後はリズミカルに手繰れば八ちゃんとご対面。

 【クッキング】ナマから揚げる。ヌル取りは粗塩が定番。片栗粉、ヌカでも代用可。その点、冷凍は手間いらず。ヌルが大まか取れてしまう。ただ1日我慢せにゃあならんのが玉にきずかな。

 足を3、4センチにカットして片栗粉を薄くまぶす。衣はほぐした卵液を水で薄め小麦粉と、片栗半々を混ぜる。揚げは170~180度で長くても1分まで。アツアツのうちが勝負だ。タコのレア感とで絶妙の食感が生まれる。塩、コショウにレモンなどを絞ってビールで乾杯!

 例によって“食専”の家人。「サクッと来てねっとり。甘みもある」。口の中へ立て続けに放り込んだ。君さあ、入れ歯痛くなんない?

 ○…東海林政一さん(73)は豪雨の中、つくばみらい市からやって来た。もとは「羽田生まれの羽田育ち」。ミナミの先代が船宿を始めたときからのお客さんだ。「当時は木造船。木更津沖でカレイを狙ったけど、風に吹かれて戻れず電車で帰ったことも」。牧歌的な江戸前を知る生き証人。現役時代は空港関係の仕事。40年ほど前に羽田と成田の通勤に都合のいい中間に引っ越した。1年前に自宅で心筋梗塞に見舞われ、美恵子夫人(72)の的確な判断で「一命をとりとめた。ステントが入ってます」。久々のタコは18匹。“遠征”のかいがあった。

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