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味と趣にタケたバンブーロッド

[ 2019年2月2日 13:11 ]

渓流釣り初体験の小原秀之さん(左端)をはじめ、バンブーロッドの良さを認識した参加者と筆者(右端)
Photo By スポニチ

 フライフィッシングは欧米から伝わった釣りですが、今や洋式というイメージはなく、日本の釣りの一つとして溶け込んでいるように思えます。特に手作りのバンブーロッドという六角の竹竿などを使ってみると優れた性能よりも味と趣で和を感じることができます。

 つい先日、私と同じ東京都羽村市に住むバンブーロッドの職人を紹介され「メードイン羽村」と「製作者の顔が見える」という価値観で使ってみたくなりました。製作者の宮川和明さんはバンブーの良さを知ってほしいと試し釣り用に4本貸してくれました。

 そのロッドを1月19日に行ったフライフィッシング教室で使いました。場所は多摩川上流で奥多摩湖に注ぐ小菅川の「小菅フィッシングビレッジ」です。

 午前8時半、日陰の気温は氷点下5度でした。魚はたくさん見えました。ということはカワウの襲撃を受けていないということです。しかし水温も低いようで全く動きません。ニジマスだけでなく、所々にイワナやヤマメの姿も見えました。参加者に水棲昆虫(ユスリカ)が羽化し始めたら魚が動きますよと、この時季の魚の生活の話をしてから釣り開始です。

 最初はフライラインが着水するだけで魚が散りました。最初の1匹が参加者の岡部保夫さんの極小フライにヒットしたのは、開始から30分後でした。10時半を過ぎる頃にはライズも活発に起こり、魚も動くようになってきました。フライにも興味を示す魚も多くなってきました。ティペット(ハリス)を細くしたり、フライを頻繁にチェンジし、ようやく他の人にもヒットがありました。

 落合隆さんがライズに関係なくブドウ虫フライでヒットさせました。そして川釣り初体験の小原秀之さんはミミズフライを使ってヒット。紅一点の中村渚さんはイクラフライで釣りました。ニジマスはこういう餌も好きなんですね。

 何匹か釣って余裕が出たところで男性軍はバンブーロッドにチェンジ。近代素材を使ったロッドとの違いを味わっていただきました。岡部さんはバンブーロッドにウエットフライを使ってニジマスを釣り、「ロッドからゆっくり伝わる振動がいいですね」と感動していました。

 バンブーロッドは竹の性質上、曲がった後の復元スピードが遅いのですが、その分トルクがあるのでキャスト時もラインがよく伸びヒットした時もじわじわと魚を寄せてくれることを体感しました。 (東京海洋大学客員教授)

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