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あと“2度”でワカサギ本格化 食い渋りは貴重な休息時間!?

[ 2018年11月13日 07:32 ]

小さな当たりをとらえて数を伸ばしていた山田さん                              
Photo By スポニチ

 【釣り日和】長野県野尻湖のワカサギが1日に解禁となった。初日に頭が300匹超。好スタートを切ったかに見えたのだが…。“湖の妖精”に合いたくて野尻湖マリーナの屋形船で竿を出した。(笠原 然朗)

 錦秋。黒姫山や妙高山を指呼の内に望む湖の紅葉は見頃を迎えていた。

 キリスト教の外国人宣教師によって開かれた保養地で、瀟洒(しょうしゃ)な別荘が林間に点在する「国際村」の沖合に停泊した屋形船がこの日の釣り場だ。

 仕掛けは袖バリ1・5号の5本付け、オモリ2号で、餌は紅・白サシを半分に切る。深場を釣るのが野尻湖のワカサギの特徴で、水深は23メートル。小さく誘いをかけながら待っていると、プルプルと小さな当たり。電動リールのスイッチを入れると、上がってきたのは8センチほどのワカサギ。窓から差し込む日差しを浴びて黄金色に輝いている。

 酷暑という言葉がふさわしかった今年の夏。湖面標高が657メートルの野尻湖も例外ではなく、81歳になる小出広船長も「生まれてからこんなに暑い年はなかった」と振り返るほど。その分、ワカサギの餌となるプランクトンも多く、「当歳魚の成長が早い。型がそろっているのが今季の特徴です」。2年魚では14センチ前後の「大公」も交じる。

 この日の水温は14度とまだ高い。おまけにこの時季に多い「ターンオーバー」(表層の水温が下層の水温より下がり、上下の水が入れ替わること)で、極端な食い渋り。

 そんな中、奮闘していたのが村上市の山田尚史さん(34)。地元の本間釣具店フィッシャーズ村上店勤務で「たるませてみたり、誘いを大きくしたり、水に濁りが入っていたのでハリの色を目立つものに替えたりしましたが…難しいです」。それでも小さな当たりを確実に捉え数を伸ばす。

 「ワカサギ釣りは今季初めて」と言う柏崎市の石沢真司さん(34=会社員)は、釣りは野尻湖のワカサギだけ。「船酔いするので。タックルが簡単なのがいいですね」

 米国の文豪・ヘミングウェーは言った。

 「釣れないときは魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい」

 屋形船の窓を額縁に紅葉に染まる山々に時折、目をやる。頭の中に浮かんでは消える想念を追いかける時間がこの上なく貴重なものに思えてくる。

 水温が12度以下になれば一気に食いは立ってくる。そうなればワカサギの数釣りは無心で行う「作業」と化す。

 そう考えるなら、この日の釣りはワカサギが与えてくれた休息だったのかもしれない。

 ▼釣況 上信越地区東日本釣宿連合会所属、野尻湖・野尻湖マリーナ=(電)026(258)2629。釣り券700円(小・中学生無料)。乗船料3500円。  

 ○…夫婦で仲よく竿を出していたのが長野市の川村健一さん(48=運転手)と陽子さん(46=会社員)。陽子さんは食い渋りの中、良型の一荷。野尻湖や諏訪湖などで年3、4回、ワカサギ釣りデートを楽しんでいるのだそうだ。釣果は2人合わせて38匹。「唐揚げにします。私が天ぷらより好きなので…」

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