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イナダ狙い バブル景気再び ダムの村観光客取り寄せ

[ 2018年10月23日 07:57 ]

川瀬さん、執念で仕留めた1匹
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほりおじゃま虫ま〜す】相模湾が沸いている。連日のカツオ景気につられるようにイナダ五目も上々だ。ここは穴狙いと平塚・庄三郎丸におじゃま虫ました。(スポニチAPC 町田 孟)

 風を読んだ。川瀬正行さん(66)はハンドルを握りながら「強くなるんじゃないか」。急きょ、当初の予定のカツオをイナダに変更した。結果は言わぬが花。

 神奈川県の清川村で旅館業を営む。丹沢山系を背に相模川水系中津川が流れ込む県の水がめ宮ケ瀬ダム。その一角にある「みはる」の2代目。調理師学校を出て修業、1989年(平元)に先代・庸幸さんの跡を継いだ。売りは「イノシシ鍋に川魚料理。特にワカサギの天ぷらは溶けるようですよ」。実は「ダムカレー」発祥の宿でもある。ダム完成(平成12年)にちなんで考案、テレビで紹介されると瞬く間に全国に拡散した。子供の頃は、天然のアユ、ヤマメ、イワナを釣り遊んだ。しかしダム建設が決まれば川は痛めつけられる。20歳くらいからは海派となった。趣味は「釣りしかない」。

 釣具店に行けば寿美夫人(63)があきれるほど「あれこれ買い込んでしまう」。時間が許せば月に5回ほど山を下りる。キャリアの中で自慢の1匹は「7・9キロのアラ」。4年前の快挙だ。3年前までは伊勢原駅近くで釣り魚料理の店も開いていたほどだ。

 のんびり糸を垂れているわけではない。村の重鎮として観光再活性化に思いを巡らす。ダム最大イベントは生クリスマスツリー。高さ30メートルの自生モミの木を1万個の電球で飾る。毎年20万〜30万人が訪れる(今年は11月24日〜12月25日)。

 しかし目玉コンテンツを持ちながらも「最盛期は年間300万まで達した人出が70万〜80万人に減少」。ダム人気が一段落した後の実情に直面している。

 「何とかしたい」。その一案がダム湖での釣り解禁だ。「費用もドラム缶を使ったフロート桟橋などで対応するとか」。キャンプブームと相まって「周辺地域に恩恵があるのに」。周囲の腰の重さにも、もどかしげだ。

 今年6月からは修業に出ていた長男・心さん(39)が3代目を見習い中だ。「そろそろ任せても」。そうなれば懸案に専念できる。4人の孫を持つおじいちゃんは波に揺られながら策を練っている。

●娘の応援にママ奮起

 ○…右舷に陣取った一団にマスコットガール。森川せらアリシアちゃん(4)で、会社の同僚と参加した千尋さん(40=あきる野市)の長女。仕事で参加できなかったブラジル人のご主人デ・オリベイラさん(29=会社員)が釣り好きで「楽しそうなので」と初挑戦したのに同行した。愛娘の声援を背にイナダとサバをゲットして見せた。ママは強し!

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、平塚・庄三郎丸=(電)0463(21)1012。出船は午前6時。乗合料金は1万円。

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