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山奥で発見 希少な天然イワナ 1投目ではヒットせず 実は警戒心強い?!

[ 2018年10月6日 07:16 ]

山奥へ招待してくれたやまと渓流会の本杉文人さん(左)と筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】渓流シーズンが終わってしまいました。最後の釣行は南アルプスの南端を流れる静岡県大井川の源流。「サケマスイワナのわかる本」の共著者、井田齋先生も一緒です。昨年開かれた同書の出版記念パーティーに参加された「やまと渓流会」の本杉文人さんのお誘いが実現したのです。

 彼らは大井川源流のヤマトイワナの保護活動を行っていて、リニアモーターの工事で源流域が変わってしまうと懸念していました。

 大井川源流域には赤石岳など、登山で有名な山がたくさんあります。最上流域にも宿泊施設があり、私たちは赤石温泉に宿泊。上流域に高速道路がないので新静岡インターから3時間ほどかけて一般道を走りました。

 長野県や岐阜県なら、山の中を高速道路がすでに通っているので川へのアクセスは簡単です。不便なゆえに、この周辺は最後の楽園と言えるかもしれません。

 翌朝8時、雨が上がるのを待って、赤石温泉から4輪駆動車でさらに2時間かけて上流を目指しました。この間にも堤防はたくさんあり、完全に孤立したエリアになっていると思われます。

 最後の車止めのゲートから歩き出すと、リニア工事の準備で途中までは道路が整備されていました。歩きやすかったのですが、ガードレールや鉄網の護岸を見て「こんな山の中まで?」と驚かざるを得ませんでした。その分歩きやすかったので悩むところです。

 1時間半ほど歩くと、川を渡る場所が増水していて渡渉が難しく、その周辺を探ることになりました。本杉さんらがテンカラやフライをするというので、私はあえて違う方法でと、ルアータックルを出しました。

 ロッドはダイワ「アモルファスウィスカーファントム504UFL」、リールはアブ・ガルシア「カーディナル3」。最近はあえてクラシックなタックルを使っています。ラインはサンラインPEスーパーブレイドの0・6号。リダーはスーパートルネードの1号を1メートル。

 開始早々、対岸スレスレに投げ込んだジャッカルトリコロールミノーの5・5センチにヒットがありました。強い流れを横切らせて取り込むと、それは初めて見る大井川源流のヤマトイワナでした。

 20センチほどでイワナの特徴である背中の白い斑点がない。山の奥に封じ込められてこんな模様になったと言われている希少な魚です。いつもなら丁寧に扱い、リリースするのですが、今回はこの水域の魚の測定調査を兼ねているので、井田先生がキープしました。

 その後みんなで15匹ほど釣りましたが、小型魚には白点があるものも交じっていました。もう少し大きくなったら白点は消滅するのでしょうか?

 それともう1つ、ルアーが対岸のポイントにドンピシャで入っても、1投目でヒットすることはなく、「いないはずはない」と粘っていると何投目かでヒットするパターンが多かったです。

 これは天然イワナには珍しいことだと思います。ここのイワナの習性なのか、あるいはこんな山奥でも実は入渓者が多くて警戒心が強いのか。それを確かめるために来季の初夏にもう1度ゆっくり訪問しさらに上流を目指して見たいものです。(東京海洋大学客員教授)

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