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希少ヤマトイワナ3連発 しかも1匹は純天然魚

[ 2018年8月11日 07:20 ]

源流釣行が初めての中村さんと筆者(左)
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】酷暑続きのこの夏、中央アルプスの山の奥の奥、源流へ涼を求めて温泉釣行しました。同行者の中村渚さんと私はフライフィッシング。須沢康一さんはルアー。最初にフライで水面を流し、反応がなければルアーで探るというリカバリースタイルを取りました。

 源流が初めての中村さんは、7月の上旬に多摩川源流小菅川でトレーニング。一方の須澤さんは犀川を中心とした川のルアーフィッシングのベテラン。フライで釣れない時、いないから釣れないのか、いても食わないのかをルアーで証明してくれます。

 中村さんのタックルはロッドが最新型のティムコJストリーム823。リールはアルトモア100。ラインは3番。リーダーは5x9フィート。フライはエルクヘアカディス#10番です。

 昔のロッドと違って振れば飛んでいく高性能のタックルが今回は活躍してくれました。初日はまずウオーミングアップ。車を降りて小径を歩き、河原に出るとすぐに泳いでいるイワナを発見。それに向かって中村さんがフライを投げると即ヒット。しかし予想外に引きが強く、岩の下に潜られて切られてしまいました。後で水中動画を見たら木の枝に絡まって到底外れない感じでした。

 気を取り直してポイントを次々に打っていきましたが、魚はなかなか出てきません。林道から近いので普段釣りをする人が多いのでしょうか?

 やっと1匹目をキャッチしたのは須沢さんのルアーでした。

 これがなんと希少なヤマトイワナでした。ヤマトイワナとは、伊豆半島から紀伊半島の間の太平洋側に注ぐ河川の上流域のみに棲息する、背部に白点がないイワナです。通常のイワナには白点、あるいは虫食い模様の白斑があるのが特徴です。増殖事業で白斑のあるニッコウイワナを山の奥に放流したために、交配して、ニッコウイワナに変わってしまった川がほとんどです。 ヤマトイワナを釣るためには本当に閉ざされた上流の水域に行かないと出合えません。

 続いて私のドライフライ、ブラックパラシュート10番にヒットしたのもヤマトイワナでした。しかも尺近い28センチ。これには驚きました。

 2人が釣ったのであとは中村さんに釣ってもらおうと全てのポイントを彼女に投げてもらいました。

 何匹かがドライフライに食いつきましたが、空振りし、そのうちやっとパラシュートフライにハリ掛かりしました。その魚もヤマトイワナ。しかも体の側部にも全く斑点がないという魚体。本当の意味でのネーティブです。こういう放流魚と交りっ気のない魚を「純血種」と言ったら恩師のサケ科魚類の大家、井田斎先生にそれは間違いで「遺伝的汚染が全くない天然魚」と言いなさいと叱られました。でもそれだと長すぎて言いにくいので「純天然魚」と呼びたいと思います。

 須沢さんも「この水域でこんな純天然魚を見たのは初めてだし、聞いたこともない」と釣った中村さんをうらやましがっていました。台風の大増水でずっと上流の沢に潜んでいた個体が流されてきたのでしょうか?

 とにかく中村さんは最初のイワナが純ヤマトイワナだったので、大喜びです。

 今回釣った魚は全てリリースしました。生き残って子孫を増やしてもらいたいものです。(東京海洋大学客員教授)

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