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宝石級の美しさブラウントラウト セミで捕らえマス 日光・中禅寺湖

[ 2018年6月30日 06:50 ]

筆者が釣ったブラウン。黄金色に輝く魚体が特徴
Photo By スポニチ

 【奥山文弥のい釣遊録】ルアーフライの聖地、栃木県日光・中禅寺湖は夏のプライムタイムを迎えました。この湖には「レイクトラウト」という、わが国ではここでのみ繁殖する魚がいることが知られています。11年の東日本大震災にともなう原発事故以降、セシウムが検出されたためキャッチ&リリースルールになってその棲息数は急激に増えています。

 レイクトラウトが注目を浴びるその陰でもともと人気があったのが今回紹介するブラウントラウトです。

 ブラウントラウトは直訳すれば「茶マス」ですが、正式な和名はなく、図鑑ではブラウンマスと書かれたものもあります。その名のごとく体は茶色で、その色彩に個体差はあれど、中禅寺湖のブラウンは体側が金色に輝き、湖の宝石と呼ぶべき美しさがあります。さすがは名曲、シューベルトの「ます」のモデルになった魚ならではのものです。

 中禅寺湖では初夏から水温が上がりきる梅雨明けまで、周辺の山々でハルゼミが鳴くいわゆるセミ時雨がおきます。ブラウンは水面に落ちたそのセミを捕食するのです。セミを模したルアーやフライを使って釣るのは最もエキサイティングな釣りの一つだと言えましょう。今では「セミング」と呼ぶ人もいます。キャストして水面に漂うセミに湖底から浮かび上がり、茶色の背中をあらわにして食いつくのが見えます。その捕食音も大きく水しぶきも派手です。

 6月下旬のこの日、すでに今年は70センチオーバーをはじめ数多くの大型ブラウンをセミルアーで釣っている細井直人さんと釣行。湖畔の立木観音駐車場を出発したのは7時半を過ぎていました。

 彼はルアーで私はフライ。ダイワ「ヘキサゴン866」に「ビルバラン」というクラシックなフライリール、ラインはWF6FでリーダーはOX9フィートの先端にFCスナイパー(フロロ)の1・2号を1メートルつなぎました。フライはもちろんセミパターンです。

 遠くへ投げる必要はありません。岸から5メートル以内で食いついてきます。そのかわり自分の姿を見られないように時にはしゃがんでキャストします。

 突然茶色い魚体がモワッと浮いてきて、「食いつくか?」とドキドキしながら見ていると、偽物だと見破って戻ります。こういうことが1日に何回もあります。そうして時間があっという間に過ぎていきます。

 この日、私のフライには大型魚は食いついてくれませんでしたが、40センチぐらいの美しい魚が掛かりました。細井さんには夕刻大物がヒットしましたが、惜しくも切られてしまいました。この時季を逃すとセミでは釣れませんが、梅雨が明けると今度はボートからの大物レイクトラウトシーズンが始まります。(東京海洋大学客員教授)

 ▼フィッシングカレッジ 7月16日(月・祝)、東京・品川の東京海洋大学で行われる「海の日」イベントでフィッシングカレッジ開催。ソフトルアー作りもします。詳しくは大学ホームページで。

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