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海の釣り堀では大漁もデートで釣れず…悔しくて「とりこ」に

[ 2018年6月19日 12:46 ]

工藤さん、1投目でゲット!
Photo By スポニチ

 【おじゃま虫ま〜す】各船宿には名人、達人、名手、主と呼ばれる人たちがいる。浦安・吉久も個性豊かな常連さんが集う。文京区の工藤英典さん(48)は腕前も含めての名物男。白子パンパンのショウサイフグを狙う隣におじゃま虫ました。 (スポニチAPC 町田 孟)

 工藤さんをターゲットにしたのには理由がある。席取りボードの大ドモに「連チャン」の印があったからだ。当日は金曜日。となると木曜日も。ウイークデーに普通ではない。おじゃま虫として興味が湧いた。

 開口一番「ハゼからマグロまで。アハハッ」。いたずらっぽい表情は、かつてのせんだみつおに似てなくもない。前日は「マルイカ60匹で、カミサンからイカはもういいからって言われたのでフグにしようかなって」。ポイントまで1時間。交わす言葉から親しみやすさが伝わってくる。どうも本紙でも執筆している、ふくだあかりとメル友らしいことも判明。

 開始早々「ハハハッ、もう来たよ!」。それからが怒とうの30分だった。ただ一人、次から次で、たちまち7匹。その後は、ぽつりぽつり状態が納竿まで続いた。手にしたカウンターの数字は13で竿頭=写真。昨年のトラフグフィーバーでは1日で2・5〜4キロ級を11匹。「白子だけで10キロ。食べ飽きちゃった」と、ここではやや自慢げな笑顔。

 釣りのとりこになったきっかけは25年ほど前、幸代夫人(46)との伊豆デートだった。海の釣り堀で大漁。「これは面白いと、その足で近くの釣具店で道具一式を2人分買い、本格的に狙った。ところが全くダメ。悔しくて逆にハマった」。負けず嫌いが輪をかけた。

 以来、デートは「釣りばっかり」。結婚してからも一緒に出掛けていた。今でこそ一人娘、わかなちゃん(9)がいるので、毎度とはいかない。が、魚に慣れた奥さんを持ったことで「調理は一切お任せ。そう教育してきましたよ。でなきゃ嫁にしてません」。食卓前ではお殿様だ。 

 他に趣味は「テニス」。釣りの帰りに寄り道することもあるそうだ。さらに「将棋も少々」。アウトドアばかりではなく幅広い。「趣味ってのはちょっと難しくないとつまらない」。

 実は工藤さん、西日暮里歯科クリニックの院長だ。「スタッフ10人ほどでやってます」。祝日以外は土・日曜日も営業。「吉久が火曜定休なので、僕は月曜を挟んだ4日勤務で回してる。水〜金はフィッシングデー」。どうりで平日の連チャンができるわけである。

 歯の治療は「1ミリなんてもんじゃあないですから」。毎日極小の世界で戦っている。大いなるストレスを抱えるのも無理はない。多趣味なのも癒やしの一環なのだろう。「海はいいですよお」。おちゃめな実力者の素顔が垣間見えた。



 「あの人もうまいですよ」。大沢正幸船長ご推薦が板橋区の小笠原尚彦さん(48=製造業)。前半は苦戦だったが上がってみれば2番手の12匹。キャリアは「かれこれ30年。昔は船酔いばかりしていた」。次第に腕を上げ、過去最多は「2時間で90匹」の手だれに。独身なのでフグ以外の釣果も「近所の飲み屋で振る舞う」。当日は何人が舌鼓を打ったのだろう。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、浦安・吉久=(電)047(351)2983。出船午前7時。乗合料金9800円(エビ餌付き)。

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