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“ピカピカの新入生”に 良型イワナ桜咲く

[ 2018年4月15日 07:33 ]

那須の渓流は水面のきらめきがひときわ美しく見えた
Photo By スポニチ

 【渓流釣れ釣れ記】今年の冬の寒さは予想外に厳しかった。豪雪情報ばかりで、どうなることかと思っていたが、桜の開花は思いがけず早く、満開、葉桜と駆け足で通り過ぎてしまった。渓流情報も今年は出掛けて確かめるのが一番いいようだ。(スポニチAPC 綾部 丹堂)

 2月から3月にかけて、個人的にちょっと課題になっていた白内障の手術で視力の回復に取り組むことになった。日常生活にはさほどではなかったが、釣り、特にテンカラにとっては視力は重要な問題である。

 最近の医学の進歩のおかげで、ありがたいことに、あっという間に視力は回復したが、予想外に大変だったのは術後のケアで、残念ながら渓流に出掛けるのは例年より1月遅れになってしまった。

 遅れついでに湯治目的で、温泉にでも漬かりながらの釣りにしようと向かったのは栃木県那須の渓である。

 東京が葉桜になってから出掛けたのだが、東北自動車道を走るうちにいつの間にか桜前線に追いついて、花見のドライブになった。芽吹きの淡い新緑のはざまに点在する桜、まさに「山笑う」と表現される景色は独特の風情である。

 ところが高速を降りて、山道に差し掛かり高度が増すとともに、景色は徐々に変わり、目的地の那珂川源流の深山ダムを過ぎるころには道端の日陰に残雪を見るようになってきた。季節の変わるころの旅は、ちょっとしたタイムスリップを味わうことができる。

 かつて会津へ抜けていた林道も、ダム上流部にゲートができて、車はここまでだ。

 いつものことだが、ここに数台の車が止められていて、幾組かの釣り人が入渓していることがうかがえた。

 流れは雪解けの水で、増水はしているが、濁りのない清冽(せいれつ)の水色である。

 回復した視力で初めて見る流れは一段と輝きを増しきらめいて見えた。

 はやる気持ちを抑えきれず、慌てて釣り支度に掛かる姿に、連れて行った中学生の孫が笑っていることに気付いて苦笑である。

 なぜか、渓に向かって新入生気分である。

 改めて流れに立ち込んでみると、雪解けの水は冷たく、水勢は思いがけず強い。離れて見た時と違って、強い流れではポイントが少ないことを感じる。

 ヘチ、巻き返し、丹念にポイントを探っていくがなかなか当たりがない。場所的には釣り人の行き来が多そうな場所を攻めているのだから仕方のないことだ。

 それにしてもいい気分である。流れのほとりの芽吹いたばかりの猫柳の花が陽光を受けて輝いている。

 さきほどのはやる気持ちがいつの間にか消えて、のんびりとした遡行(そこう)に変わっていた。

 しばらくして、石裏の巻き返しで粘ったところで、待望の当たりがあった。少し送り込んで合わせると、シーズン初めのイワナが手元に飛び込んできた。水温と同じ冷たい魚体は、新入生への温かい贈り物である。

 しばらくして、同じような石裏の巻き返しで、1匹目より良型のイワナが出たところで、納得して竿を納めた。上々の再スタートだ。

 那須の温泉のいい湯に手足を伸ばすことにした。次はテンカラでヤマメを狙うことにしたい。ヤマメには気の毒だが、視力の回復は期待以上で、楽しみである。

 ▼釣況 那珂川北部漁協=(電)0287(54)0002。日釣り券1500円。

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