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最もフェアな水面バトル トップウォータープラグでヒットの瞬間、引き満喫

[ 2018年2月24日 07:34 ]

昨年夏、相模湾で中嶋政文さん(右)がペンシルで釣った27キロのキハダ。東京海洋大学生の高橋恵里香さん(中央)も「いつか釣ってみたい」。左は筆者 
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】ナマズの「ポカン釣り」というのを知ってますか?私はやったことはないんですが、子供の頃、釣りの入門書で紹介していたのを覚えています。カエルの足にハリをしばり、自然に泳がせていると突然ナマズが水面を割って飛び出す。この時いきなり合わせず、十分に糸を送って食い込ませてから合わせを入れるという釣り方です。

 記事を読んだだけで興奮しました。フナ釣りに親しんでいた私は、食い付くシーンが見える釣りへの憧れを持ちました。

 その時がやって来たのが高校生の夏休み。ブラックバスをトップウオータープラグで釣りました。これにはしびれました。本当に水面で魚が掛かるのだと感動しました。

 社会人になり、ボートに乗ってブラックバス釣りをするようになった時も暖かい時季はひたすらトップウオータープラグを投げていました。とくに大型ルアーに食い付いてくる様は素敵でした。

 そのうち海外へも遠征するようになって始めたのがサンゴ礁海域でのロウニンアジ釣りです。今では「GT」と呼ばれる魚です。

 ある時、師匠の西山徹さんにすりこぎのような大きなルアーを見せられ、「これで釣るんだよ。海の魚はさ、泳ぐスピードが速くて目がいいから、これをフルキャストして超速引きをすると水しぶきが上がってごまかすことができるんだ」と教えられました。

 パスポートを見たら1985年でしたが、パラオのペリリュー島の磯で西山さんに頂いたそのすりこぎのようなルアー、ペンシルポッパーを投げ、速引きすると猛然とダッシュしてロウニンアジがヒットしました。水しぶきを上げて水面を走るルアーにオデコを出して追いかけ、水面が爆発するようにヒットするやいなや体にズガーンと強烈な引きが来ました。しかし大きいのはみんな切られました。

 今でもトップウオーターの釣りは相変わらず一番楽しいと思っています。食い付くシーンが見えるという視覚的な刺激はもちろん、「人間と魚の生活域の境界線である水面に誘い出して釣るという行為」は、ゲームとして最もフェアであるという哲学的な理由にもよるものです。ですから水面に出てくる魚は、水面で釣るのが最も面白いのです。

 東京湾ではシーバス、相模湾ではシイラやカツオが、そしてマグロは食い付いた後そのまま水面から飛び出してきます。昨年もドラム缶のような巨大なマグロが跳ねていましたからね。今年も楽しみです。

 川ではライズする(水面で捕食中)マスを釣るのはもちろん、多摩川では日中のナマズはなかなか水面では釣れませんが、コイは浮いているパンフライで釣ります。そういえばカナダでスチールヘッド(降海型ニジマス)の最大魚107センチはバブルヘッドというドライフライで釣りました。カジキのトローリングも水面を引いて釣りますね。大きな魚は水面に出やすいのでしょうか?

 トップのいいところは、他人のヒットを見ても楽しいことです。喜びが分かち合える一石三鳥の釣りなのです。(東京海洋大学客員教授)

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