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このゆびと~まれ

【第7回】体育の充実とボランティア大学生

[ 2020年4月13日 05:00 ]

和歌山大の学生が前転のやり方をていねいに個別指導 
Photo By スポニチ

 教科担任制を行ううえで、最初の課題は体育でした。そこで指導力向上を大きな柱としました。深日(ふけ)小には毎年、和歌山大学教育学部の保健体育教室から数名のボランティア学生が指導に来てくれます。

 他校でもボランティアを受け入れていますが、深日小では受け入れにひと工夫を加えました。

 それは「需要と供給」です。体力づくりに力を入れているので、学生には体育の授業を中心にサポートしてもらいます。とても重要なことで、この「需給」が当てはまらなければ、学校も子どもも学生も十分な効果は得られません。授業は担任が指導しますが、安全の配慮や上手な見本として活躍してくれるなど、自分の能力や得意分野を十二分にいかしてくれます。

 学生たちのサポートするときの自信、専門性をいかせた達成感や満足感は子どもたちにも伝わり、相乗効果を生んでいます。
 実際に自身のアドバイスによって、できなかった動きが、できるようになった子どもを見た瞬間の喜びが忘れられない思い出になっている学生もいます。

 野球部の学生が提案してくれた「投げる」トレーニングの〟秘密兵器〟として、トラロープにバトンを通したものを一緒に設置しました。休み時間に子どもたちは何度もチャレンジしていました。安全確保が条件ですが、失敗してもいいから提案受け入れるのが深日小流です。

 学生にとって学校現場の様子を知ることはとても重要なことだと思います。国語や算数など普段の授業も参観し、体験学習などにも参加してもらいます。そうすることで、普段の子どもたちの様子だけでなく、深日地区や岬町の良さも感じてもらえる機会につながっています。

 毎年、参加した学生から「深日小で採用してもらえないんでしょうか」、「深日小が無理ならせめて岬町に配属してほしい」とうれしい言葉が返ってきます。深日小でボランティアを経験し、岬町が好きと言って卒業していった学生の多くが教壇に立ってくれています。教員志願者が減少する中で、こうした取り組みを続けることで、学生たちの将来を支える礎になると信じています。では、今日はこのあたりで、このゆびと~まれ。
              (岡田良平)(次回掲載は20日)

 【深日(ふけ)】大阪府の最南端、泉南郡岬町にある深日は四国や淡路島への交通の要衝として繁栄した。地区人口は1971年の8059人から、2019年には3766人に減少。深日小学校の児童数も1978年は875人いたが、2019年には74人にまで減少した。大阪市内から電車で約1時間の場所にも、少子高齢化の波が押し寄せている。

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