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【旅ヂカラ漫遊記】世界に誇る長州の造形美 海へと続く「赤」と「白」

[ 2016年11月9日 12:00 ]

まさに絶景!元乃隅稲成神社。赤い鳥居が海まで延びていきそうだ

 耳慣れない観光地が米CNNテレビの「日本の最も美しい場所31選」に選ばれたと聞いて一目見たさに出掛けた。山口県長門市の元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社。海岸線に真っ赤な鳥居が並ぶ景観はまさに圧巻。隣の下関市にはベストセラー本「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」3位に選ばれた角島(つのしま)大橋もあって感動の二重奏。旅はこうでなくっちゃ!

 これを絶景というのだろう。JR山陰本線長門古市駅からタクシーで約20分。元乃隅稲成神社の小さな社がある丘陵に立つと眼下に広がるコバルトブルーの海に向かって、朱塗りの鳥居が蛇行しながら100メートル以上にわたり下っていく。その数123本。周囲には草木が茂り、青と赤と緑のコントラストは見事の一語。しばらく動くことができなかった。

 掲示板の説明によると、白狐のお告げにより1955年(昭30)、島根県津和野町の太皷谷稲成神社から分霊された神社で、「稲荷」神社は全国で約4万社あるが、「稲成」神社は2社のみ。お告げがあった地元の網元が、87年から10年かけて鳥居を奉納してきたという。

 参拝は鳥居を下からくぐっていくのが正式。上りはきついが、絶景の中に身を置いていると思うと不思議に楽しい。上りきって参道を進むと出口に高さ約5メートルの大鳥居が立ち、最上部には賽銭(さいせん)箱。賽銭を投げ入れることができれば願いがかなうといわれ、挑戦すると割に早めの5回目で成功。昨年「日本の…」に選ばれ、今年上半期の観光客が約22万人に100倍増したというパワーをもらったような気がした。

 若返った気分で同線特牛(こっとい)駅からバスで約25分の角島大橋に向かったが、こちらも負けていない。00年(平12)に開通した、本州と角島を結ぶ全長1780メートルの橋で、通行料が無料の離島架橋としては全国2番目の長さ。青い海に真っすぐ延びる真っ白な大橋は、夢の世界に誘う架け橋のよう。その光景は「HERO」などのドラマや映画、CMにも度々登場。「死ぬまでに…」に選ばれたのもうなずける。

 これまでとは異例の国外レベルの発信で、表舞台に姿を見せた2つの絶景スポット。長門市といえば安倍晋三首相の出身地で12月には日ロ首脳会談が行われるが、プーチン大統領にもぜひ見てほしいものだ。 

 ≪戊辰戦争憎み合った会津と長州が合作≫山口(長州)といえば戊辰戦争などで会津(福島)と憎み合った歴史があり、今なお一部にわだかまりが残っているといわれるが、長門市のお隣、吉田松陰の「松下村塾」がある萩市で会津の本漆とコラボした萩ガラス製品を発見した。

 山陰本線萩駅からタクシーで約20分、「萩ガラス工房」では、地元笠山(標高112メートル)の石英玄武岩を素材にした硬質の萩ガラスに会津の漆を噴き付けたぐい飲み(銀ぱく入り会津塗酒器)を製造、販売している。「なんとか両市の雪解けをと、会津塗の塗師と協力して作り上げた」と代表の藤田洪太郎さん。1520度の超高温で原料を溶かした、モスグリーン色が特徴の萩ガラス。来春運行開始され萩駅に停車するJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」では、その切り子グラスが使用される。

 ≪うま味ギュー 伝統「見島牛」≫萩と瀬戸内の三田尻(現防府市)を結ぶ萩往還(国道262号)沿いにある「道の駅萩往還」内の「見蘭牛ダイニング玄」で、貴重な見島牛のハンバーグ(2160円、土・日限定20食)を味わった。萩市の沖合45キロの見島で飼育されてきた日本在来牛で、口之島牛(鹿児島)と2種類しか残っていないという。見島牛とホルスタインを掛け合わせた見蘭牛のハンバーグ(1350円)もお薦めだ。

 ▽行かれる方へ 車は中国道美祢IC利用。JR西日本では来年の山口デスティネーションキャンペーンのプレキャンペーンを12月末まで展開中で、元乃隅稲成神社と角島の周遊バス(4500円から)を土日祝日に実施。問い合わせは山口県観光連盟=(電)083(924)0462。

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