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【旅ヂカラ漫遊記】タイムスリップ400年戦国の目覚め 朝倉氏遺跡

[ 2015年11月11日 05:30 ]

当時の服装を身につけた美女らが迎えてくれる復原町並。通りの向こうは見えない
Photo By スポニチ

 新幹線開通で観光客激増の北陸地方。観光列車が登場し、金沢以遠の人気も高まる中、20年にも新幹線延伸が予定される福井市の一乗谷(いちじょうだに)朝倉氏遺跡を訪ねた。朝倉氏が織田信長の戦火を受け滅びてから400年。田畑の下に埋もれていた焼け跡を“復原”したという遺跡は、まるでイタリアのポンペイのよう。実はテレビCMの白い犬のお父さんの故郷というオチもあって、そのギャップが楽しかった。

 福井市街から南東へ約10キロ、JR北陸本線福井駅からバスで約30分。400年の眠りから覚めた朝倉氏の屋敷と城下町は、県道18号沿いに流れる一乗谷川の両側に南北1・7キロにわたりひっそりとたたずんでいた。

 「昭和44年(1969年)の水田改良事業で田畑を掘り返したら建物の礎石や遺物などいろいろなものが良好な状態で出てきたんです。信長に焼き打ちされてから眠ったままだったのが良かったようで、これほどの遺跡は他にありません」と朝倉氏遺跡保存協会会長の岸田清さん。まさに“日本のポンペイ”だ。

 東側の山城跡が残る一乗城山(標高473メートル)の麓に立つ唐門をくぐると、朝倉氏最後の当主・義景が暮らした邸宅跡。三方を囲む土塁や堀を含め面積1万628平方メートル(東京ドーム4分の1個分)の屋敷跡で、儀式や接客用の主殿を中心に、16の建物跡と5000点以上の生活用品が発見された。周辺には4つの庭園跡。5代続いた朝倉氏103年の栄華がうかがい知れる。

 反対の西側には武家屋敷や職人たちの町屋などの復原町並みが広がる。すべて地中に埋まっていた石垣や建物礎石、柱、壁などを使って200メートルにわたり再現したもの。「だから復元ではなく復原なんです」と岸田さん。通りも遠見遮断といって、敵に遠くを見透かされないよう塀が屈曲して立てられている。町並みを歩けば当時の服装を身につけた案内人がお出迎え。戦国時代にタイムスリップしたようだ。

 それにしてもこの光景、どこかで見たと思ったら「一乗谷は犬のお父さんの故郷という設定で、ソフトバンクのCMの撮影も行われました」(岸田さん)。CMディレクターに遺跡のポスター制作を依頼したのがきっかけというが、約4キロ先の佐々木小次郎が燕返しをあみだした場所といわれる一乗滝では昨年、同CMでHKT48の指原莉乃が滝行を敢行。当時、一乗谷に暮らしていたという約1万人の町民が知ったら、さぞ驚いたことだろう。

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