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【絶対!健康 若返る旅】イチ押し温泉療法 伊豆市「かかりつけ湯」

[ 2018年10月31日 12:00 ]

たち湯で女性客にワッツを施す鈴木さん。その作法は「お湯の中の魔術師」のよう
Photo By スポニチ

 熟年記者が旅をしながら健康を目指す「絶対!健康 若返る旅」。今回は「かかりつけ医」ならぬ「かかりつけ湯」のある静岡県伊豆地方に出掛けた。健康増進と癒やしのサービスを提供する温泉宿のネットワークで、内容もいろいろ。その中から伊豆市の船原温泉「船原館」で温泉を利用したアクアセラピー「ワッツ」、セルフケアの「天城流湯治法」を体験――。

 「ワッツは日本の指圧療法を基に米国で生まれたもので、“Water Shiatsu(ウオーターシアツ)”の略語。良質な温泉とストレッチ、マッサージを組み合わせた現代の湯治なんです」。伊豆箱根鉄道修善寺駅からバスで約20分。天城の山々のマイナスイオンに包まれた山里にたたずむ船原館を訪ねると、館主でワッツインストラクターの鈴木基文さん(65)が説明してくれた。

 案内されたのは深さ1・2メートル、4メートル四方の巨大な「たち湯」。温泉は毎分150リットル、45度で湧出しているかけ流しで、Ph8の弱アルカリ性単純泉。体と肌に優しく、長時間の温泉療法に向いた泉質だそうで、これを体温と同じ36度前後に調整。水着に着替え中央に立つ鈴木さんに近寄ると、「何もしなくていいんです。私に任せて力を抜いて」という間もなく、お姫様だっこのように仰向けにかかえられた。

 まな板の上の鯉気分で、体を回されたり、足を曲げたりひねられたり。さらに腕をもまれ、背中を指圧されるなどして約30分。いつしか不思議な浮遊感に包まれ、お湯の中に溶け込んでいくよう。鈴木さんの存在さえ忘れそうなほどで全身空っぽ状態。同館では「すべて忘れてしまうほどリラックスしてほしい」として「ものわすれの湯」とうたっているが、それを超えた究極のリラクセーションだ。

 「お客さまの体の状態でやるんですが」と次は天城流湯治法。湯船の上がりかまちに座って足を組むと、すねの骨に沿って親指でグイと押され痛ッ!「骨から筋肉をはがすように押すと膝痛にいいんです」。これを「骨そうじ」と呼ぶそうで、膝から脚の付け根までそうじすれば腰痛、上腕や鎖骨辺りだと肩凝りに効果があるという。「家庭でもできるので、続けてほしいですね」

 夕食は囲炉裏(いろり)食事処(どころ)で猪鍋がメインの名物・お狩り場焼きコースを味わったが、猪肉は高タンパク質、低カロリーとこれまた体に優しく、一日終える時点でストレスフリー。次は別の温泉宿に行ってもよし。かかりつけ湯を持つのも悪くはなさそうだ。

 ≪「出会い橋」でロマンチックなひととき≫ワッツでリラックスした翌日は、宿から車で約15分の紅葉の名所、「出会い橋」でさらに癒やされた。男性的な本谷川に架かる「男橋」と女性的な猫越(ねっこ)川に架かる「女橋」。2つの川が合流する三角州にあることから名付けられた。両橋は湯ケ島温泉街に通じる「湯道」でつながっており、男性は男橋を、女性は女橋を渡って出会えば、心結ばれて新しい人生を歩み始めるという。中間点には角度によってハート形に見えるモニュメントが設置され、昨年末にはハンモックの席がある屋外カフェ「MadoroMi(まどろみ)」がオープン。フレンチプレス式で抽出した本格的コーヒーや焼いたマシュマロとチョコレートをクラッカーで挟んだスモアなどメニューも充実。出会い橋では11月10日〜12月9日、紅葉のライトアップが行われる。

 ◆かかりつけ湯 静岡県の関連団体、ファルマバレーセンター(駿東郡長泉町)が選んだ伊豆半島の温泉宿で現在45軒。温泉を利用した健康増進プログラムやヘルシーな食事を提供したり、作家の文学散歩を売りにするなどサービスは多種多様。泉質、食事、料金などをHPで流している。

 ▼行かれる方へ 車は東名道沼津ICから約50分。宿泊料は1泊2食1万2000円から。ワッツは宿泊者プラス4000円、日帰り1時間1万円(要予約)。問い合わせは船原館=(電)0558(87)0711、かかりつけ湯協議会事務局=(電)055(988)0777。

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