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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】五十路でつかむ味アンドリーム 東南アジアから逆輸入の味わい

にぎわいを見せる「大東京酒場」の店内
Photo By スポニチ

 真夏の東京を飲み歩く。“センベロライター”さくらいよしえが訪れたのは市ケ谷。窓から外濠(そとぼり)を望む「大東京酒場」でアジアを舞台に活躍する“夢追い人”に出会った。

 夢は遠い日の花火、ではないのかもしれない。

 「市ケ谷に印刷屋さんがやってる安くてうまい謎の店がある。東南アジアにも進出しているらしい」と聞いてやって来た。

 料理は200〜300円台が主、中生(エビス)480円とプチ夜景が見える着席店にしては良心的。

 まずは看板料理、手羽唐揚げを注文。箸で取ろうとすると、「おっと、まずは手で2つに折ってください。で、片方を口の奥の奥の奥まで入れます。そこでしゅぽっと抜く」。

 レクチャーするのは当店代表だ。ぷるるんと骨から外れた肉から汁がはじけ「おお」と唸(うな)る。

 「“世界の〇ちゃん”をパクりました」とにこやかだ。

 続いて、自家製ラー油がけの鶏ささみ。艶やかなささみに容赦なく降り注ぐ深紅の油とニンニクのハリケーン。これがまさかと思うほどうまかった。言うなれば、東南アジアから逆輸入の味わいか。

 「この食べるラー油も、流行にのっかってパクリました」とすがすがしく言う。

 次第にわしの中で好感度が上がる代表。やたらと分厚い手だと思ったら、若かりし頃はボクサーを目指していたらしい。20歳になるとマイケル・ジャクソンやオリビア・ニュートンジョンに憧れ渡米、現地の日本料理店で働いた。しかし、4年後に帰国すると、実家の印刷会社が抱えた莫大(ばくだい)な借金が待っていた。「死ぬ気で返済したら今度は新しい印刷機が欲しくなっちゃって」。で、何をしたかというと、予算を稼ぐべく国内外に飲食店を展開!

 信じがたい発想とパワーである。

 「凄いなあ。凡人にはムリですわあ」とくだを巻いていたわしが、思わず半腰を上げたのは終盤だった。

 「こないだクアラルンプールにフードコートを作ったんです。アジアで店をやりたい日本人を応援したくて。出店するなら費用は…」。いきなり凡人の海外ドリームが現実味を帯びた。何やる何やる?

 抹茶屋?日本酒バー?ホッピースタンド?いいねいいね!

 貪欲に夢に猛進した五十路の兄貴の今の夢は、人の夢をアシストすることか。大東京の夜景を見ながら、わしの夢は無尽蔵に広がった。

 「そうそう、フィリピンではコインランドリーも始めたんですよ。名前は『洗濯屋Kenchan』。これも某映像作品のパクリですけど」…夢の第一歩は、たぶんパクる勇気だ。(さくらい よしえ)

 ◆大東京酒場市ケ谷店 オリジナルスパイシー味の手羽先は、パンチが利いた東南アジアのテイスト。代表の鈴木浩一さん(51)は都内で「紅とん」「とり鉄」「串カツ しろたや」などの店舗を経営。新鮮なモツを使った焼きトン、焼き鳥、串揚げのほか居酒屋メニューの定番まで各店の“いいとこ”を「大東京酒場」に集めている。系列にインドネシア・ジャカルタ店。ほかにバリ島やフィリピンでも事業展開している。東京都新宿区市谷田町1の1の1。(電)03(6412)9218。営業は月〜金曜日、祝前日は午後5時〜午前4時。土・日曜、祝日は午後5〜11時。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「きょうも、せんべろ」(イーストプレス)など。

[ 2018年8月10日 12:00 ]

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