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【旅ヂカラ漫遊記】「かわせみやませみ」球磨焼酎お供に熊本を味わえる

[ 2017年6月14日 12:00 ]

球磨川沿いを走る「かわせみやませみ」。青と緑の車体が美しい
Photo By スポニチ

 観光列車が人気を呼ぶ中、九州・熊本県にまた新しい観光列車が登場した。JR鹿児島本線・肥薩線熊本―人吉駅間を走るJR九州の特急「かわせみやませみ」。同社11番目の観光列車だが、初めて車内販売のアルコールを米が原料の球磨(くま)焼酎に限定しているのが売り物。まろやかな味わい、車窓を流れる風景に酔いしれながら“観光列車の旅”を楽しんだ。

 日本三急流の一つ、球磨川流域に棲む野鳥の名前を付けた「かわせみやませみ」。漢字で書くと翡翠、山翡翠。熊本駅肥薩線ホームに姿を見せた1号車「かわせみ」、2号車「やませみ」の2両編成は、それぞれブルー、グリーンと異なる色ながら、まさにひすい(翡翠)のように輝いていた。

 乗ったのは熊本駅発午前11時23分の「かわせみやませみ3号」の2号車。展望コーナーや子供イス、多目的トイレなどがある1号車に対し、ベンチシートやソファ席、ショーケースなどのほか、球磨焼酎が飲めるサービスコーナー(ビュッフェ)が設置されている。

 発車後、早々にビュッフェで球磨焼酎「一勝地(いっしょうち)」を水割り(1杯400円)で注文。球磨村一勝地地区にある渕田酒造の琥珀(こはく)色の焼酎で、トロッとした濃厚な味わい。この日は日曜日ということで土日祝日限定販売の「球磨の四季彩弁当と郷土料理つぼん汁セット」(1300円)も購入。焼き鱒(ます)や菜の花、きくらげなど地元食材がよく似合う。

 車窓には1921年(大10)建造の赤レンガの旧深水発電所や1908年(明41)に米国で造られた近代化産業遺産の赤い第一球磨川橋梁(きょうりょう)などレトロな風景が流れ、グラスも進む。球磨焼酎は同様に土日祝日限定販売のおつまみ付き「くまの宝石セット」(焼酎1杯付き、1100円)のほか、90〜100度の沸点で蒸留させる常圧、40〜50度の減圧、樽(たる)熟成の3タイプを常時用意。減圧の一勝地の次は常圧の「火ノ国漫遊」(大和一酒造元)をオーダー。やさしい飲み口に心が和んだ。

 焼酎同様、地区名を駅名にして「必勝お守り記念入場券」を販売している一勝地駅で約5分停車。入場券を求めて乗客が降りている間に、無料貸し出しの仮想現実(VR)ゴーグルを着け、球磨川でラフティングしたり、上空を飛んだりしている様子を360度の動画で疑似体験。午後1時すぎ、人吉駅に到着したころには気分もかわせみ、やませみになっていた。

 《龍馬が愛した温泉》人吉からは同じ観光列車の「いさぶろう・しんぺい」、「はやとの風」に乗って、坂本龍馬が妻・お竜と日本初の新婚旅行に訪れたという霧島温泉(鹿児島県)まで足を延ばした。11カ所の温泉はもとより、建国神話の主人公・ニニギノミコトが祭られている霧島神宮、龍馬夫妻が最も長く滞在したという塩浸(しおひたし)温泉の龍馬公園など見どころが多い同温泉だが、霧島神宮近くにまた一つ「霧島神水峡」という新名所が誕生。人気を呼んでいる。霧島川上流にある渓谷で、2年前に整備された1周1・8キロの遊歩道を歩くと、柱状節理や滝などダイナミックな景色を間近に見ることができる。特に高さ20メートルの渓谷は美しく、国の名勝・高千穂峡(宮崎県)を小規模にしたよう。霧島のジオサイトが凝縮されている。問い合わせは霧島市観光課=(電)0995(45)5111。

 ▽行かれる方へ 熊本駅までは九州新幹線か飛行機。「かわせみ…」は1日3往復。乗車券に指定席特急券が必要(1往復目は自由席)。熊本―人吉は3270円。問い合わせはJR九州熊本支社=(電)096(324)4303。

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