超刊スポニチ

【全国ジャケ食いグルメ図鑑】東京都武蔵野市 通いたい近所の愛され中華

[ 2019年2月15日 12:00 ]

店構え
Photo By スポニチ

 人気ドラマ「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんが外観だけで店選びをする「全国ジャケ食いグルメ図鑑」。家族みんなで通うご近所の店。「はれの日」のお祝いにも使えるけど、「普段づかい」にもできるそんな店が近所にあったら…。そんな“近所の愛され中華”のジャケットには、愛されキャラも待っていました。

 吉祥寺駅から20分ほど歩いて、繁華街を完全に抜けた住宅街の中に、ポツンとある店だ。

 このジャケット(店の表)で、まず目を引くのが、ガラス窓に描かれた、緑色の龍の頭だ。龍は、中華料理店の意匠として、店の装飾や、食器などによく使われる。しかしこの龍はそういうのとは、ちょっと違う。「イラスト」と言いたくなるポップなタッチだ。マンガっぽいと言ってもいい。

 よくみると、龍の右手は、Vサインを出している。ふざけているのだろうか。

 いや、違うだろう。龍以外、この店のデザインはどこをとっても、いたって真面目だ。「龍華」という屋号が、ネオンサインでできているのも、香港ぽいと思えばおしゃれだ。だが他に装飾らしい装飾はほとんどない。だからなおさら、Vサインの龍が面白い。店の前には、紹興酒の大瓶が並んでいる。ウマイ酒も飲めるのか。

 前にこの店の前を通ったら、ガラス戸越しに店内が満員なのが見えた。子供から年配まで幅広い客層が、みな楽しそうな顔をしている。貸し切りかと思ったが、そうでもなさそうだ。ご近所に愛されている中華料理店なのかな、と思ったら、入ってみたくなった。

 それで今回初めて行った。8時半ごろ行って、ジャケットの鑑賞をしてたら、入り口に営業時間が9時までとあったので、焦る。

 客は誰もいなかった。もう終わりなのだろうか。恐る恐る、カウンターに向かって「まだいいですか?」というと、人のよさそうな主人が「どうぞぉ」と言った。4人がけのテーブルに着く。隣のテーブルには、4人分の食後の丼や皿がまだ残っていた。

 カウンターとテーブルで20人ぐらい入れるだろうか。店内もこぢんまりしている。本棚に漫画や絵本が並んでいるのが、ファミリー客が多いことを示す。とりあえず餃子(ギョーザ)とビールをもらう。

 この餃子がよかった。ふっくらと大きいが、皮は薄め。肉がみっちりと入っていて、ニンニクも効いている。皮のパリッとした部分が香ばしい。庶民的な味だが、家では絶対作れない餃子だ。ひとつ食べて、この店は信頼できると思った。

 ◆龍華 五目焼きそば918円(税込み)。金曜は「龍華の日」として700円。東京都武蔵野市吉祥寺北町1の4の2、JR吉祥寺駅から徒歩15分。(電)0422(22)5679。営業は午前11時30分〜午後3時、午後5時から同9時。月、火曜定休。店主は72歳のベテラン。「そろそろ営業形態の変更も考えていますが、おいしいご飯とお酒は変わりません」

 ◆久住 昌之(くすみ・まさゆき)1958年、東京都生まれ。漫画家、漫画原作者、ミュージシャン。81年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として月刊ガロにおいて「夜行」でデビュー。94年に始まった谷口ジローさんとの「孤独のグルメ」はドラマ化され、新シリーズが始まるたびに話題に。舞台のモデルとなった店に巡礼に訪れるファンが後を絶たない。フランス、イタリアなどでも翻訳出版されている。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る